
6月中旬、都内の気温が30度を超えた真夏日。汗だくになりながら道端を歩いていると、コカ・コーラの自動販売機が目にとまった。
飲み物を買おうと近づくと、ミネラルウォーター「いろはす」(540ミリリットル)が140円、炭酸飲料「コカ・コーラ」(500ミリリットル)が190円で販売されていた。3年前にはコカ・コーラが140円前後で買えていたことを考えれば、この数年でずいぶん高くなった。
原材料費などのコスト増を受け、飲料業界では値上げラッシュが続いている。とりわけ、基本的に飲料会社が定価販売できる自販機においては、猛スピードで商品価格が上昇してきた。
冒頭のコカ・コーラは2025年10月にも再び値上げが実施され、200円の大台に乗る。スーパーやドラッグストアの店頭価格との差は、商品によって、今や倍近く開いている。
もはや稼げない販路
かつては「ドル箱」とまでよばれた自販機も、人口減少やコンビニの台頭、コロナ禍における人流の変化などで売り上げが低迷。販売量でコンビニに抜かれるのも、時間の問題とみられる。
飲料各社は不採算機の撤去を進めている。飲料総研の調査によれば、2014年に247万台あった稼働台数は2024年に204万台まで減っているが、それでもまだ1割近くの自販機は赤字とされている。しかも、2025年10月には飲料各社が大規模な値上げを控えており、これで集客数が減れば赤字の自販機が2〜3割に跳ね上がるともいわれている。

そんな市場の変化の影響を、もろに受けているのがダイドーグループホールディングス(HD)だ。2024年の国内稼働台数は24万7000台と業界3位(飲料総研調べ)で、主力の国内飲料事業においては、販売数量・売上高の9割近くを自販機が占める。
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