本記事は1995年8月に前任の豊田達郎氏が病気退任したことに伴って社長に就任した直後のインタビューである(インタビュー実施日は9月6日)。「週刊東洋経済」1995年9月30日号に掲載された。
見誤った市場変化、1人1台でシェア奪回を目指す
――社長内定の記者会見で商品開発力の強化、国内シェアの回復、海外展開の迅速化という三つの課題を挙げられました。なかでも緊急のテーマはどれでしょうか。
奥田:やはり国内シェアの挽回でしょう。これまでもシェア40%割れがなかったわけではないが、今回はその期間が長い。一つはマークⅡなどミディアムクラスの乗用車でシェアを落としていることが痛い。このクラスには本田技研工業のオデッセイというヒット車もあり、苦戦しています。
もう一つは、RV(レクリエーション・ビークル)で若干、あぐらをかいていた面もある。トヨタはステーションワゴンでカルディナ、キャブワゴンでエスティマ、ハイエース、ジープ型でランドクルーザー等々と品揃えは十分にあります。ところが、モデルチェンジの時期や新型車投入のタイミングがずれ、かつての金城湯池が崩れてしまった。
――5月に発売した新型カローラも不発に終わりました。
奥田:苦戦と言われればそうかもしれないが、当初掲げた月間の販売目標はクリアしていて、不発、不発と言われるのは、僕らやマスコミの皆さんが新型カローラが出れば爆発的に販売台数が伸びると、期待をかけすぎたためではないか。カローラのようなジャンルの車は新型が出たといっても、昔のように飛躍的に伸びるものではありません。
要は正直なところ、市場がこれほど変わるとは思っていなかったためです。過去は成長市場で、構造そのものもそれほど変化していなかった。ところが、今回はRVが市場全体の3〜4割も占めるまで成長している。これほどの構造変化は初めてで、立ち直りがやや遅れた面がありました。
しかし、いろいろ言われるようにトヨタがディーラーの声をキャッチできなくなっているわけではない。いまになってディーラーのなかには、あの時こう言ったという方もおられるが、きちんとした意見として言われたかどうかは分からない(笑)。4〜6年先に市場がどう変わっていくか、あるいはRVのなかでどのようなスタイルが好まれるか読み切れなかっただけです。(トヨタが市場の声を察知できなくなったというような)構造問題ではない。
異例の代表者会議
――それにしても国内販売の不振は深刻です。今後の挽回策としてどのような対策を打ってくるのでしょうか。
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