気鋭のブランドや流行のファッションアイテムを求め、多くの若者や訪日客が集まる原宿。そこで今、出店先をめぐりテナント同士の熱い争奪戦が繰り広げられている。
不動産サービス大手のCBREによると、表参道・原宿エリアにおける2026年4~6月期の商業用不動産の空室率は0.1%と低水準を維持。明治通り沿いを中心としたプライムエリアでは、数にして1区画ほどしか残っていない。今年に入っても、国内外のブランドの新規出店が相次いでいる。
平均賃料はコロナ前上回り過去最高に
「参入ブランドが増えて相場を崩しにかかっている。この1~2年で家賃高騰が顕著になってきた」。原宿エリアに店舗を出すアパレル企業の幹部はそう明かす。
原宿周辺はファッションを中心に多くのブランドが集積することから、もともと賃料水準は高いエリアだった。大通り沿いには、2024年に開業した東急プラザ「ハラカド」などの大型商業施設に加え、多数の著名ブランドが旗艦店として路面店を構える。CBREの調査では、表参道・原宿エリアでは26年6月末時点の平均賃料が25.6万円(坪当たり、想定成約賃料ベース)と、過去最高値を記録。国内の主要な商業エリアでは、銀座の29.8万円に次ぐ高さだ。
出店したいと思うブランドは後を絶たず、少ない募集区画をめがけて複数のブランドが手を挙げる。オーナーにとっては、まさに引く手あまたの状態だ。争奪戦となった場合、一般的にはより高い賃料を提示したブランドが出店できるため、成約家賃は当初の募集賃料を上回り、平均賃料も底上げされていく。不動産業界関係者によると、原宿の相場はテナントの入れ替わりを経て、コロナ禍前後で契約した賃料から約2割上昇し、場合によっては2倍というケースも出てきている。

表通りから一歩入った裏原宿やキャットストリートでも、変化の兆しが出ている。
原宿周辺は文教地区に指定され、ホテルや映画館などの建設が規制されており、裏通りには閑静な住宅街が広がる。1~2階をテナントに貸し出すような建物が立ち並び、裏原宿系と呼ばれるブランドや、ストリートブランドが生まれたエリアだった。こうした物件は個人オーナーが保有するケースが多く、賃料相場は比較的安定していた。
ところが近年は、エリア全体への参入ブランドが増えたことに加えて、足元の地価上昇などを理由に、投資目的で企業が不動産を取得するケースもみられる。取得価格を反映した形で、裏原宿の平均家賃も今後上昇する可能性がある。
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