100年以上の歴史がある重要文化財の建物なのに…東京駅内の「名門ホテル」に海外客がピンとこない事情

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これこそまさに、わざわざ海外出張をして、人に会いに行くことの価値だろう。もちろん、東京ステーションホテルでの宿泊体験が大きく貢献しているのは間違いないが、松永が会いに行ったからこそ、つながりは広がったのだ。

「しかも、実は紹介してもらったジャパンスペシャリストの方を通じて、すぐに予約が入ったんです。もう一人の方も、別のヨーロッパ出張で再会することができました。一つのつながりが、ちゃんと広がっていくんだな、と改めて強く印象に残っています」

そして、こうしたスタイルこそ、自分たちの理想とするインターナショナルセールス、エージェントとのつきあいの形なのでは、と思ったという。
「簡単に同じことが起きるわけでも起こせるわけでもないですが、こんなふうに少しずつ少しずつ、つながりを増やしていくことができたらと考えています」

期せずして手に入れた“強力セールスツール”

東京ステーションホテル: 100年先のおもてなしへ
『東京ステーションホテル: 100年先のおもてなしへ』(河出書房新社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

インバウンドの拡大については、日本では賛否両論ある。ゲストがホテルの雰囲気を作る、という意味では、日本人ゲストが多いことが、東京ステーションホテルの雰囲気を維持している要因の一つであることは間違いない。

「実際、海外からのお客様をフロントにお迎えに出たりしても、外国人だらけじゃないか、と言われることはあまりないですね。ロビーラウンジにも日本のお客様がたくさんいらっしゃいます。でも、この雰囲気を維持し、常にビジネスミックスのバランスを取るためにも、インターナショナルセールスは重要になると考えています」

これまで以上に、東京ステーションホテルに合うゲスト、東京ステーションホテルらしい外国人ゲストを迎え入れたいということだ。

最近、強力なセールスツールができたことを発見した。日本の新しい1万円札だ。渋沢栄一(しぶさわえいいち)の肖像の裏面には、実は東京駅丸の内駅舎が描かれている。

「お札に出るくらいの、すごいホテルなんだ。これは国からもらったフリーマーケティングツールなんだ(笑)。そうアピールしています」

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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