100年以上の歴史がある重要文化財の建物なのに…東京駅内の「名門ホテル」に海外客がピンとこない事情
東京から京都や大阪に行くときに新幹線に乗った駅、と言うと「ああ、あったな」と思い出されることもあるが、タクシーで八重洲側に乗りつけ、そのまま新幹線で出発してしまうことも多いようで、そうなると東京駅の印象はほとんどない。
「だから、東京駅に隣接している、という価値も伝えづらい。東京ステーションホテルは、他と比べることができない場所にあって、立地的にベストな存在なのですが、それがなかなかわかってもらえないわけです」
“隠れた宝石”と感嘆される魅力
加えて松永がこのホテルの大きな魅力と感じてきたのは、スタッフ一人ひとりから伝わる東京ステーションホテルらしさだ。
「世界的な外資系ホテルのクレド(信条)にも匹敵すると私には思える『Our Promise』(2012年再開業へ向け定められた全スタッフの行動指針)がある。拘束力の強いものではありませんが、それがまたいいんです。でも、働いている人たちが生み出している独特の雰囲気は、言語化するのがすごく難しい。外観や内装はヨーロッパ建築のヨーロピアンスタイルだとしても、接客は独自のものがあります。だから、私の業務としては、海外のクライアントに実際に来てもらうことがとても大事になります」
実はステーションホテルという説明をする中で、皇居から写した東京駅の美しい全景を見せると「WOW!」という反応もあるという。
「で、ホテルはどこにあるの?と聞かれると、この駅舎の6割がホテルだ、と言うわけです。鉄道にくっついてるなんて揺れないの、うるさくないの、とも聞かれますが、ジャパニーズテクノロジーを信じてくれ、と」
日本に来るタイミングがあると、ホテルツアーをして歴史やホテルを知ってもらい、すれ違うだけでもいいのでスタッフに実際に接してもらうと、言葉にできないその魅力が、やはり伝わるのだという。
「中には、こんなところは知らなかった、こんな空間があるなんて初めて知った、ここは“Hidden gem!”(隠れた宝石だ)と驚かれることもあります」



















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