フジテレビ以外の民放キー局が"過去最高の売上高"を記録、それでも日テレとABCが「ダウンタウンプラス」にひれ伏す理由

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松本人志、日テレ、ABCテレビ
日本テレビ(左写真)と朝日放送テレビ(右写真)は松本人志氏(中央写真)が出演する配信サービス「ダウンタウンプラス」に過去コンテンツを提供する(写真:アフロ)

民放キー局の2025年度第2四半期(中間)決算が出そろった。放送業界は斜陽産業のはずだが、意外にも「中間決算、史上最高の売上高」に沸いている。とくに前年同期比で激増したのがスポット(番組を指定せず特定の時間帯を選定してCMを放送する出稿形態)セールスだ。

ただし、これはフジテレビを除いた話。フジ・メディア・ホールディングス全体では、本業の儲けを示す営業損益が129億円の赤字、フジテレビ単体では327億円もの営業赤字だった。

驚いたことにフジテレビ単体の売上高は606億8400万円で、テレビ東京単体の609億9600万円よりも低かった。フジテレビがテレビ東京に売上高で抜かれてキー局の中でビリになるという、前代未聞の出来事が起こった。元タレント・中居正広さんの性加害トラブルに端を発した一連の問題がフジテレビにそこまで大きな影響を及ぼしたのだと、あらためて思い知った。

“過去最高の売上高”も喜べない放送収入の内情

それにしても、斜陽であるはずの放送業界において、なぜフジテレビ以外が過去最高の売上高を記録したのか。最大の要因は、フジテレビから撤退したスポット発注が、他局へと流れたからだ。

スポットではフジテレビ以外の4局が激増している。だが、5局合計は1800億円で、前年同期比0.2%増にすぎない。前年同期からわずか3億円増えただけだ。

さらに、タイム(番組の提供スポンサーとなって番組内のCM放送枠に出稿する形態)では前年同期から売り上げが減少した局もあり、フジの減少と合わせると5局合計で前年同期比10.8%減だった。タイム枠の売り上げはフジからの流出分が他局に移らなかったばかりか、減ってしまった局もあるのは、放送業界の斜陽化の表れだ。

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