「バラエティー豊かと言えないバラエティー番組」は変わるか? "金光氏退任"よりも注目したいフジテレビ《覚悟の発表》

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フジ・メディアHDが4月30日に公表した9つのプレスリリース。多くの報道は「金光氏の退任」に注目していたが、本当に注目すべき発表はほかにある(写真:ブルームバーグ)

4月30日、フジ・メディア・ホールディングスが一度に9つのプレスリリースを発表して驚いた。6月末の株主総会で会長になるはずだった金光修氏の退任については、さっそく各メディアが報じた。ほかにも特別損失の計上などに伴って2024年度の業績予想を最終赤字に下方修正するなど、それぞれ中身が濃いリリースだった。

その中で私が注目したのが「フジテレビの再生・改革に向けた8つの具体的強化策及び進捗状況」と題した9ページの資料だ。副題に「組織としての反省と再生への誓い」とあり、並々ならぬ決意を感じさせる。

示された8つの具体策のうち、6つが人権やコンプライアンス関係のもの。目下の最重要課題だから、当然だろう。

フジが立ち返りを目指す「原点」

残る2つのうち、1つは組織について、最後の1つが企業理念を見直すものだ。「公共性と責任を再認識し、企業理念を見直します」とある。ここでも結局は「人権侵害を断じて許さない」とうたっているのだが、それに続いて「『楽しくなければテレビじゃない』からの脱却 原点に立ち返ります」とある。

ここで言う「原点」とは放送法の原点であり、「社会の公器としての役割を果たす」としている。私は「ついに来た」と受け止めた。フジテレビが「楽しくなければテレビじゃない」の呪いを自ら解く日がようやく来たのだと。

この言葉が人権侵害と結び付けて語られているのは興味深い。「楽しくなければ」と調子に乗っていたら人権侵害を自覚できない能天気な会社になっていた、ということだろうか。

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