フジテレビ以外の民放キー局が"過去最高の売上高"を記録、それでも日テレとABCが「ダウンタウンプラス」にひれ伏す理由
そして、放送収入全体では同5.5%のマイナスだった。コロナ禍以降の減少基調が継続している。つまり、「過去最高の売上高」はフジテレビの減少分が他局に回ってきたという一過性のもので、ちっとも喜べないのだ。

2000年代までテレビ局の中で圧倒的トップだったフジテレビの凋落は、テレビ業界全体の衰えを象徴している。放送は、コンテンツの伝送形態として完全に時代遅れになった。
番組もコンプラも劣化が著しいフジテレビ
フジテレビにCMが戻ってきているのは確かだ。9月には前年同月の47.2%まで回復し、10月は取引社数が同72%まで戻ったという。
この分なら、今年度末には100%に戻るのだろうか。筆者はそうは思わない。番組がひどいのだ。
三谷幸喜氏が久々にフジの連ドラの脚本を書いたと話題になった『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』はまったく面白くない。フジが育てた三谷氏に急遽助けを求めた企画なのだろうが、急造ぶりが画面に表れている。三谷ファンの私も、第1回から寝てしまった。
バラエティー番組もひどいものだ。1回だけ放送された『令和県民ヘン県GP』は、読売テレビ制作の「秘密のケンミンSHOW極」の劣化版でしかない。県民独特の文化を取り上げる、他局の人気番組をなぞっているだけだ。
『酒のツマミになる話』は、お笑いコンビ・千鳥の大悟氏がダウンタウンの松本人志氏の仮装をしたことを局側が問題視し、急遽過去回の再放送に差し替えた。松本氏の問題を気にしたコンプライアンス的な配慮だったのだろう。だが、怒った大悟氏が自ら降板し、結局、番組が終了してしまった。
問題は番組だけではない。不適切な経費精算が発覚して、取締役が辞任する事態が発生した。コンプラ重視の姿勢が番組終了をもたらしたのに、局内部にこそコンプラ問題が潜んでいたことになる。さらに、系列局である東海テレビ会長のセクハラ疑惑も週刊誌にスクープされた。
そんな放送業界の情けなさが露呈する一方で、11月1日に配信サービス「DOWNTOWN+(ダウンタウンプラス)」がスタートした。月1100円の定額制で、すでに50万人が加入したと報じられた。



















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