"過剰な値引き"が利益を吹き飛ばしていた? 売れば売るほど赤字が膨らむ「日産」一人負けの厳しすぎる現実
たった1年で1兆円も採算が悪化
実業家の鮎川義介が1933年に設立した日産自動車。「他のやらぬことを、やる」を社訓とし、日本初の電気自動車のほか、スポーツカー、ターボエンジン、世界初のアラウンドビューモニターなど、革新的な技術を搭載した自動車を世に送り出してきました。
80年代にグローバル展開を加速させると、北米、欧州、アジア、中南米と、世界各地に生産拠点を拡大。現在、販売網は160カ国以上に及びます。
近年は、2017年に発覚した検査不正問題、18年のゴーン元会長逮捕などの影響による経営不振の立て直しを図るため、20年度から「NissanNEXT」プランを実行。不採算事業や余剰設備を整理することで売上高、営業利益ともに順調に回復させ、見事に復活を果たしたかのように思われました。
ところが前期の4266億円の最終黒字から、当期(25年3月期)は6709億円の最終赤字に転落。わずか1年で利益が1兆円以上悪化しました。いったい、日産にどのような異変が起きているのか。決算書から読み解いていきましょう。
初めに損益計算書を見ていきます。なお、同社の業績の実態を正確に把握するため、「自動車事業」と「販売金融事業」のセグメント収益も同時に分析していきます。



















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