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"過剰な値引き"が利益を吹き飛ばしていた? 売れば売るほど赤字が膨らむ「日産」一人負けの厳しすぎる現実

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  • 佐伯 良隆 グロービス経営大学院教授(ファイナンス)
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日産はアジア、日本、欧州で苦戦するも、最大のマーケットである北米で3.3%販売台数を伸長。全体では2.8%の微減にとどまっています。

ところが日産の所在地別の収益を見ると、印象が大きく変わります。最大の売上高を誇る北米で383億円、欧州で988億円の営業損失を出し、利益率もマイナスに転じたのです。

(出所)『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2026』

過剰な値引きで、売れば売るほど赤字に

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この背景にあるのが、先述した販売奨励金です。販売奨励金は、自動車メーカーが販売代理店に支払う販促費の一種で、顧客に対する値引きやローン金利の優遇などの原資となります。

コロナ明けの23年以降は、販売競争が激化したことでメーカー各社の販売奨励金が上昇。特に日産は、アメリカで需要の高いHV(ハイブリッド車)を用意できなかったことから、在庫リスク回避のため販売奨励金を積み増し、24年9月時点で1台あたり4500ドル強(約66万円)まで膨らんだとの報道もあります。

業界平均が3500ドル、トヨタは約1450ドルであることから、過剰な値引きによって売り上げを維持していたことがわかります。

これにより北米の営業損益を同販売台数で除した1台あたりの営業損益は2.9万円の赤字に。欧州の損失と合わせると、国内事業の営業利益を吹き飛ばしており、売れば売るほど損失が膨らむ状況です。

(出所)『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2026』

また、各社の自動車事業単体の収益を比較してみても、日産だけが営業損失に転落しており、一人負けの状況がわかります。

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