――企業風土改革を断行することになった経緯を教えてください。
改革に着手した最大の動機は、コロナ禍において社員間のコミュニケーションが遮断された結果、離職率が急増したことだ。特に30代を中心とした若手・中堅社員の離職が増えたことに強い危機感を抱いた。
もともと当社は、社員同士のコミュニケーションの良さが文化であったが、コロナ禍でそのつながりが途絶えた。ボーナスを一時的に下げたことも相まって、2022年度には49歳以下の離職率が従来の1%から3%へと約3倍に上がった。
この危機的状況に対し全社員(約5000人規模)との意見交換会を実施した。「社員一人ひとりの個の力の最大化」を掲げ、私以外の役員を含めた全社体制で、22年から3年間かけて社員と膝を突き合わせて対話した。
現場のリーダーが現場の空気を変えるカギ
――そこではどのような声が出てきましたか。
当初は会社への忖度(そんたく)もみられた。だが回数を重ねるうちに、「会社を信用していない」「雨漏りしている宿泊所がある」といった不満を含む率直な意見が出始めた。そのような声にはスピード感をもって対応することで、対話の重要性と効果を全社員に体感させることを意識した。
一方、現場の空気を変えるカギを握るのは、やはり現場のリーダー。会社の方針を職場に届けるのも、社員の声を経営者に伝えるのも、結節点である現場長の役割となる。




















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