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【判明!】本格空母導入検討の可能性が明らかに。来年度予算の概算要求に防衛省が盛り込んだ"一文"の狙い

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海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」は、戦闘機F35Bの発着艦を可能にするための改修が行われている(写真:海上自衛隊ホームページ)

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防衛費の拡大を背景に防衛市場が活況だ。関連企業の売上や利益は急伸し、株価は高騰している。現場でいま何が起きているのか。死角はないのか。特集「防衛産業の熱波 防衛費43兆円の狂騒」で最前線をリポートする。

今年9月11日、尖閣諸島の魚釣島から北西約200㎞。海上自衛隊のP3C哨戒機が上空から初めて確認したのは、東シナ海を航行する中国の最新空母「福建」の姿だった。

福建は中国にとって3隻目の空母だ。2012年就役の初の空母「遼寧」、19年就役の「山東」よりもさらに大型で、戦闘機や早期警戒機などを計60~70機搭載できるとされている。

2025年7月3日、中国香港に到着した空母「山東」(写真:ブルームバーグ)

中国の国防予算はこの30年間で28倍に増えている。その急激な軍拡を象徴する軍事アセットが空母だ。日本の防衛白書(25年度版)によれば「将来的な原子力空母の建造計画が存在するとの指摘もある」という。

空母は「一種の外交手段」

活動も活発化している。24年の1年間に、太平洋で中国の空母から艦載機が発着艦した回数は1200回を超えた。最近は危険な行為も目立ち、今年6月には太平洋の公海上で、日本のP3C哨戒機が、空母「山東」から発艦した戦闘機に距離約45mまで接近された。また、約900m前を横切るような飛行もあった。ほとんど例のない出来事とされ、防衛省・自衛隊が警戒を強めている。

そもそも空母は「航空母艦」の略称で、洋上の巨大な基地のような存在だ。有事の際に戦力投入や攻撃の拠点となるだけでなく、軍事プレゼンスを示して相手に圧力をかける「一種の外交手段」(政府関係者)だとの捉え方もある。そうした極めて強力で影響力の大きい軍事アセットを3隻も保有している事実は、中国の軍事大国化の象徴ともいわれる。

一方の日本側はどうか。アメリカ海軍横須賀基地に原子力空母「ジョージ・ワシントン」が配備されているが、日本自身は空母を保有していない。旧海軍はゼロ戦などを空母に搭載して運用していたが、戦後は憲法上の戦力不保持との整合性もあり、保有に慎重な姿勢を取ってきた。

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