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〈5年に一度〉「ピアノの祭典」ショパンコンクール開幕──ヤマハとカワイの名誉を懸けた熾烈な戦い、絶対王者のスタインウェイへ挑む

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2021年大会ではカナダのブルース・リウ氏がファツィオリを操り、優勝を飾った(写真:ファツィオリ)

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ポーランドの首都ワルシャワ――。世界各国から優秀な若手ピアニストが集結し、10月3日に「第19回ショパン国際ピアノコンクール」が幕を開けた。5年に一度の開催となるが、前回大会はコロナ禍で延期されて2021年に開催されたため、今大会は4年ぶりとなる。

通称「ショパンコンクール」と呼ばれるこの大会で、優勝者の賞金は約1000万円。出場資格は16歳以上30歳以下(年末時点)。入賞すればクラシック音楽界での輝かしいキャリアへの道が拓かれる、若手ピアニストの登竜門となっている。

ポーランド生まれの作曲家兼ピアニスト、フレデリック・ショパンの解釈者を発掘することを理念として掲げ、課題曲はすべてショパン作品で構成される。世界最古にして最高峰の音楽コンクールとされている。

近年、中国や日本からの出場者が増える中、特にアジア市場での反響は一段と大きくなっている。

長年のクラシックファンは「入賞したピアニストは、その後にチケットが入手困難になる。だから出場者のチケットを開幕前に“青田買い”している」と話す。主催するフレデリック・ショパン研究所はYouTubeでの全世界配信を2005年から続けており、再生回数は600万~700万回を超えるものもある。

ピアノ選定は10~15分間の勝負

第19回となる今大会は84名が出場し、うち日本人は13人。1次予選を通過したのは40人で、日本人は5人となった。2次、3次予選を経て、10人前後のファイナリストが10月18~20日にかけてオーケストラとの協奏曲で覇を競う。

その舞台裏では、世界を代表するピアノメーカーによる、もう1つの熾烈な戦いが繰り広げられている。ショパンコンクールの大きな特徴として、出場者が自身に合ったピアノを選べることがある。

開幕の数日前、まず行われるのが「ピアノセレクション」。舞台上にはヤマハや河合楽器製作所(以下、カワイ)など各社が用意したフルコンサートグランドピアノが1台ずつ並べられる。ピアニストはわずか10~15分間という限られた時間で、本番で使用する1台を決めなければならない。

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