
不正アクセスにより大量の株式を買わされた結果、意図せず大株主になってしまう事件が起きていた(記者撮影)
10月8日に奇妙な大量保有報告書が提出された。提出主は三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)。曰く、コールセンター向けクラウドシステムを手がける東証グロース上場企業、コラボスの株式を14.99%取得したという。
金融商品取引法は、上場企業の株式の保有割合が5%を超えた場合に大量保有報告書の提出を義務づけている。MUMSSの対応はこれに沿ったものだ。だが、コラボス株の真の所有者はMUMSSではなく、顧客である個人投資家だ。証券口座に不正にアクセスされ、大量のコラボス株を買わされたという。しかし大量保有報告書は投資家ではなく、MUMSS名義で提出された。
年始から続く証券口座の不正アクセス。口座を乗っ取られて知らぬ間に大株主にさせられた投資家は、自身の保有状況を開示するべきか――。証券会社が補償対応を進める中、新たな論点が浮上している。
発行済み株式の15%を「買わされた」
投資家が被害にあったのは8月25日。コラボスの発行済み株式数の14.99%にあたる74万6200株を4億5900万円で取得させられた。この保有比率は、筆頭株主である代表取締役社長に次ぐ第2位。知らぬ間に大株主に伸し上げられてしまった。
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