
有価証券報告書などの情報開示を管轄する金融庁が、政策株の解消に本腰を入れている(編集部撮影)
政策保有株式(政策株)を「純投資目的」に振り替える企業が相次いでいる。持ち合い解消に向けた売却のためではなく、政策株を有価証券報告書(有報)の記載から消す「政策株ウォッシュ」が横行しているようだ。政策株ウォッシュを問題視している金融庁では目下、純投資目的に振り替えた株式の動向を調査するなど実態把握に乗り出している。企業の情報開示を管轄し、「ミスター政策株」とも呼ばれる金融庁企画市場局の新発田龍史審議官に、当局の問題意識や企業に求められる対応について聞いた。
――なぜ今、政策株に注目するのでしょうか。
政策株が抱える課題はかねて指摘されてきた。企業の間でも政策株に対する問題意識が共有され、「岩盤」と呼ばれるような銘柄も含めて、持ち合いの解消が進んできたことは確かだ。
政策株の削減に真面目に取り組む企業がいる一方、「(政策株を大量に保有している事実は)対外的に見栄えがよくない」という理由で、有報上の区分を純投資目的に振り替えて、記載を免れようとする企業があると耳にした。不心得者が得をして、正直に開示する者が損をするような事態にならないよう、実態把握を進めている。
「看過できない問題」
――金融庁が「政策株ウォッシュ」への問題意識を抱いたのは、いつ頃でしょうか。
2023年の夏、私が開示行政の担当になった直後に、地銀の間でそうした動きがあるという話を聞いた。その後、内外の機関投資家から同様の指摘を受ける中で、秋口には(政策株ウォッシュが)日本のマーケットやコーポレートガバナンス改革に対する信頼を損ねかねない、看過できない課題だ、という問題意識を持つに至った。
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