「お前のやってることは遊びや」とセンスを全否定されたが…SNS映え「カワイイ和菓子」が大ヒット、逆風を乗り越えた3代目の"ブレない信念"

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村井沙邦莉さん
老舗和菓子屋・村井製菓3代目の村井沙邦莉(さほり)さん。練り切りに琥珀糖を乗せているところ(筆者撮影)
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1964年創業の兵庫県の老舗和菓子屋・村井製菓。前編の記事では、家業の危機に立ち上がった3代目の村井沙邦莉(さほり)さんが、「余計なことをするな」と職人や父からの猛反発にあいながらも非効率だらけの職人世界の“経営改革”に取り組んできた様子を取り上げた。

後編では、伝統的ではない色遣いを批判されながらも取り組んだ色鮮やかな和菓子がヒット、周りの職人たちの心も動かし、“SNS映え”やショート動画を駆使しながら売上回復に挑む様子を紹介する。

“カワイイ和菓子”がベテラン職人の心を動かす

2020年、村井製菓に再び大きなピンチが訪れる。コロナ禍だ。4月に緊急事態宣言が発令されると観光客の波が止まり、姫路城の周辺から人影が消えた。スーパーを訪れる買い物客も減った。

暗いニュースばかりの中、沙邦莉さんは思いつく。「気持ちが明るくなるような和菓子をつくりたい」。

沙邦莉さんが着目したのは、日本の四季を写し取る伝統和菓子の練り切りだ。練り切りは、白あんをベースに求肥などを加えて練り上げた生地を色付けし、季節のモチーフに見立てる芸術性の高い生菓子である。

練り切りの色味は、伝統的には控えめなものが良しとされてきた。沙邦莉さんはコロナ禍以前にも、コントラスト強めの鮮やかな色味を添えた練り切りを提案し、父やベテラン職人から強く批判された。

「『お前のやってることは遊びや、ばちこいねん(=「汚い、気持ちが悪い」の方言)』と、色のセンスを全否定されました。職人からすれば、和菓子の伝統的な色遣いではないからですね」

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