「30年前は120店舗あったのに…」現在は8店舗の《元気寿司》、"元気がなかった"30年を経て「最高益」「約15年ぶり新店舗」で静かに大復活の意外な理由とは?

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「実は2010年代半ばから、元気寿司として展開してきた海外の店舗も、実質的に魚べいと同じ“回転しない”スタイルを踏襲し始めている。1990年代当初は、回転レーンで流れるスタイルが新鮮だったものの、いまや台湾発の『すしエクスプレス』をはじめ国内外の各社が参入して、そうした光景はマンネリ化してきた。

そこで、特急レーンで厨房からすしを運ぶスタイルに業態変更したところ、思いのほか現地の方々から好反応を得られた。新幹線の模型に乗った皿が運ばれる光景に、エンターテインメント性を感じてもらえたことも、いま改めて融合店の開業に踏み切る後押しとなった」(大塚氏)

高速レーン
厨房から卓を結ぶ高速レーンが2段体制になっている(写真:筆者撮影)
高速レーン
高速レーンで注文が到着(写真:筆者撮影)

2025年3月期の営業利益は前期比38.1%増に

加えて、メニュー構成も、融合店らしいラインナップを敷く。国内で展開するレギュラー商品に加え、フェアメニューのような形式で、各国で流行りのすしネタを展開していく予定だ。

各国の人気メニューを挙げると、ハワイではポキをアレンジした軍艦寿司、ハワイアンテイストのスパイシーツナ。東南アジアではサーモンをマヨネーズや多彩なソースで炙った寿司や、パクチーを添えたエスニックテイストが好まれている。

さらに、カリフォルニアロールといったロール系など、日本人にも親しみやすく、各国で安定した需要を持つ商品を月替わりで導入することで、国内外双方の顧客層を取り込んでいく方針だ。

「当社の強みは、長きにわたり海外に展開してきた点です。いまでは他社も海外展開に躍起ですが、出店している国数で言えば我々が1位。元気寿司という海外での認知度に加え、これまでの知見を活かした商品構成を押し出していく」(大塚氏)

今後は、10月の融合店の状況を鑑みつつ、魚べいと二軸での展開を視野に入れると明かすGenki Global Dining Concepts。

ここ数年は魚べいブランドも、人気テレビ番組『ジョブチューン』などのメディア露出や、売価を適正に押し上げたことで、過去最高の増収増益を更新。2025年3月期は、売上総利益が402億2200万円と前期比10.5%増、営業利益は67億9200万円と前期比38.1%増に着地した。「国内の足元の勢いに乗り、『GENKI SUSHI×魚べい』を成功させたい」(大塚氏)と更なる飛躍を見込む。

振り返れば、かつて1960年代後半に、国内で回転ずしチェーンの黎明期を牽引した元気寿司。そこから2000年前後を境に、競合の台頭により国内では魚べいへ業態展開を進めたものの、海外では元気寿司としての種を蒔き続けた。そして創業から半世紀以上、いま改めて国内外で定着したブランドを融合させてシナジーを発揮させる。

国内ではレガシーとなりつつ、海外では定番ブランドへ成長を遂げた元気寿司。その変遷を辿ると、回転ずしは廻らない光景が主流となったものの、常に時代の歯車は回り続けている。

佐藤 隼秀 ライター

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さとう はやひで / Hayahide Sato

1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、その後フリーランスに。趣味は飲み歩き・競馬・読書

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