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〈インタビュー〉オリオンビールが東証プライム市場に上場、ファンドから自立でも村野社長が「沖縄の会社じゃなくなる」と語る真意は

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沖縄を代表するブランド、オリオンビール。野村HD傘下の投資会社とカーライルによる2019年の買収後6年を経て、上場に至る(撮影:尾形文繁)
沖縄県基盤のオリオンビールが、9月25日に東京証券取引所プライム市場へ上場する。
同社は2019年、野村キャピタル・パートナーズと米投資ファンドのカーライル・グループが出資するオーシャン・ホールディングス社によるTOB(株式公開買い付け)に賛同。現在オリオンの最高顧問を務める嘉手苅義男氏(当時の会長)が出資することでMBO(経営陣による買収)を実施した。
オリオン株の約71%を保有する野村とカーライルは、上場に際し全保有株式を売却する。その後、9.23%を保有するアサヒビールが筆頭株主に、9.21%の近鉄グループHDが第2位株主となる見通しだ。
地元で「ワッター(私たちの)自慢」と愛され、1957年の創業以来、創業家や多数の沖縄県民からなる株主に支えられてきたオリオン。だが、2019年からはファンド傘下で「第2の創業」を標榜し、企業価値の向上と上場を目指してきた。なぜこのタイミングでの上場となったのか。ファンドの資金回収以外の、オリオンにとっての利点は何か。村野一社長に聞いた。

投資家との対話で手応えを感じていた

――当初、1株当たり770円としていた上場時の売り出し価格は、最終的に850円になりました。想定時価総額は380億円程度と言われています。どう感じていますか。

世界中の投資家と対話を重ねる中で、手応えを感じていた。沖縄県内での盤石な基盤に加え、県外や海外におけるRTD(Ready to Drinkの略語。缶チューハイなどの開けてすぐに飲める飲料)、(ロゴを活用したTシャツなどの)ブランドビジネスについても評価いただいたのだと思う。たいへん嬉しい。

時価総額は、もちろん低すぎたら悲しいし、高すぎても大変。上場時の価格を経営陣がどう評価するかというよりは、それ以上の価値を生み出していくのがわれわれの務めだと思っている。

――MBOから6年余り経った今のタイミングで上場する理由は。

MBO後すぐにコロナ禍となり、業務用の酒類販売や観光・ホテル事業が壊滅的な打撃を受けた。それでも足元で業績は回復し、収益性、成長性、資本効率が大きく改善した。内部管理体制も、MBO以降にほとんどゼロから整えた。会社として上場の準備が整ったのが1つの理由だ。

また、株式市場の環境としてもとてもよいタイミングだと思った。

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