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〈インタビュー〉カーライル日本共同代表兼マネージングディレクター 富岡氏が明かす「オリオンビール事業改革」の中身

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富岡隆臣(とみおか・たかおみ)/カーライル・グループ 日本共同代表兼マネージングディレクター。早稲田大学法学部卒業、米ニューヨーク大学MBA取得。1985年日本長期信用銀行入行。GEキャピタル・ジャパンを経て2003年カーライルに参画。19年からオリオンビール社外取締役。23年6月からカーライル日本共同代表(撮影:尾形文繁)

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9月25日に東京証券取引所プライム市場へ上場したオリオンビール。これをリードしたのは、2019年に同社を買収した投資ファンドだ。
野村ホールディングス傘下の野村キャピタル・パートナーズと米投資ファンドのカーライル・グループは、約570億円でオリオンを買収。両ファンドはそのうち計200億円超を出資し、残りの費用は借り入れで賄った。
オリオン株の約71%を保有していた野村とカーライルは上場に伴い全株式を売却。上場時の売出株式総数は3169万7600株、公開価格は1株当たり850円、引受価額は同800.80円でイグジット(資金回収)を果たした。
ファンドは投資資金の回収に向けどのように企業価値を高めてきたのか。19年から社外取締役として経営に参画し、オリオンを上場へ導いたカーライル日本共同代表兼マネージングディレクター 富岡隆臣氏に、買収から上場までの経緯や、今回の投資に対する評価を聞いた。

「満足のいく投資ができた」

――買収から6年後の今のタイミングで上場した理由と、投資結果に対する評価を教えてください。

投資期間の目安は本来なら5年。コロナの影響で若干長くなった。投資パフォーマンスを測る指標の1つであるIRR(内部収益率)の観点からは、期間が延びることはマイナスだ。コロナ禍で失われた2年強がなければ、より短期間で成果を出せていた可能性はある。

ただ、これを除けばオリオンは順調に成長してくれた。カーライルが重視している売上高成長率、酒税抜きのEBITDAマージン(売上高に占める、調整後の利払い・税引き・償却前利益の割合)、ROE(自己資本利益率)はいずれも業界トップとなっている。1株当たり770円でスタートした公開価格も最終的に同850円になり、納得・満足いく投資ができたと思っている。

――オリオンの保有株式はすべて売却しましたが、元々その予定だったのでしょうか。また、同社との今後の関わり方は。

上場後も両ファンドがそれぞれ約10%ずつ保有し続ける計画だった。オリオンが描く成長戦略は始まったばかりで、発展途上だからだ。具体的には、沖縄県内での成長に加え、海外展開や自社EC、商品開発力にはまだ伸びしろがある。ただ、投資家の需要がはるかに想定を上回ったためすべてを売り出す判断をした。

一方で、野村出身の社外取締役と私は26年6月の株主総会まで残る予定だ。期の途中の9月に上場したため、今退任すると中途半端になる。上場企業としてのオリオンには新たな経営が求められるので、1年間は支援を継続したい。

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