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〈1年後に試練〉オリオンビールがついに上場も、2026年10月には「酒税軽減措置」が廃止。「ニッチ戦略」「沖縄依存」の成長の壁を破れるか

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2019年のMBOから6年余り、ついにファンドの手を離れたオリオンビール。前列左から2番目は嘉手苅義男最高顧問(撮影:尾形文繁)

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「うれしいですよ。最高の日です」。オリオンビールで最高顧問を務める嘉手苅義男氏(86)は、9月25日の上場セレモニーで笑顔を見せた。

オリオンは同日、東京証券取引所のプライム市場に上場した。初値は1863円、初日の終値は1950円と公開価格850円の2倍以上に。同日の終値に基づく時価総額は約795億円となった。

同社はこれまで6年超、ファンドの傘下にあった。2019年、野村キャピタル・パートナーズと米投資ファンドのカーライル・グループによるTOB(株式公開買い付け)に賛同。当時オリオン会長だった嘉手苅氏が出資し、MBO(経営陣による買収)を実施した。

オリオン株を約71%保有していた野村とカーライルは、上場に伴い全株式を売却。約10%を持つアサヒビールが筆頭株主となった。

ファンドの下でどう変わった?

「コロナ禍から業績がV字回復して準備が整った。上場によって会社の信用度が高まり、人材獲得などで有利に働く」。オリオンの村野一社長は、上場の背景や狙いをそう語った(インタビュー記事はこちら)。

一方、今回は株式の売り出しが行われたのみで新株は発行されず、既存株主による売り出しのみが実施された。オリオンに新たな成長資金が入るわけではなく、ファンドの資金回収の意味合いが強い。

19年のMBO時、ファンドは投資期間のメドを5年に設定し、オリオンも「5年後の上場」を目指すとしていた。だが直後にコロナ禍へ突入し、業務用酒類や観光・ホテル向けの需要は壊滅的に落ち込んだ。その後業績が回復し、企業価値も十分に高まったとの判断から、6年以上が経過した今のタイミングでの上場となった。

カーライルで日本共同代表兼マネージングディレクターを務め、オリオンの社外取締役でもある富岡隆臣氏は「投資期間としては若干長くなってしまったが、コロナの影響を除けば満足のいく投資だった」と語る(富岡氏へのインタビュー記事はこちら)。

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