
世界3位のデータセンター(DC)事業者のNTTデータグループ。クラウド普及とAI(人工知能)開発を背景とするハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)の旺盛な需要を捉え、日本だけではなく、アメリカ、ヨーロッパ、インド、東南アジアと世界各地で大型DCの建設を次々と進める。
NTTの中期経営戦略では、2023~2027年度の5年間で1.5兆円以上の成長投資を行う計画で、7月にはシンガポールでDCのREIT(不動産投資信託)を上場し、早期の投資回収を図るスキームも構築した。DC事業を成長領域と位置づけるNTTによる完全子会社化を経て、より機動的な投資も期待される。
足元の需要はどのように推移し、今後の事業戦略をどう描くか。NTTデータグループが海外展開するDC事業を統括するNTTデータインクの佐々倉秀一エグゼクティブ・バイス・プレジデント、日本とアジア太平洋地域のDCを担当するNTTグローバルデータセンターの鈴木康雄社長に聞いた。
1.5兆円計画を超えるペースで投資が急拡大
――NTTのDC事業急拡大はハイパースケーラーの巨大な需要が背景にあると思います。今春、一時的にアメリカのマイクロソフトが整備を抑えるといった報道もありましたが、足元の需要トレンドを教えてもらえますか。
佐々倉:ハイパースケーラーも巨額投資を必要とするので、いろいろな理由で一時的に全体的な見直しがあったかもしれない。ただ、現時点では引き続き引き合いは強く、(需要が先行した欧米やインドだけでなく)アジアでもリージョン(拠点)を開くという需要が出ている。一方、国内はハイパースケーラーだけでなく、もともとの法人顧客、そして昨今はデータを自分のところに置きたいといった需要もある。
鈴木:日本国内ではもともと、NTTデータの顧客基盤が大きく、(2026年に竣工を予定する)京阪奈や他のDCもそうだが、一定数は法人向けの需要がある。AI絡みのソリューション提供には必ずDCのスペースが必要になるので、以前に比べても法人向けの事業規模は大きくなっている。アジア太平洋地域の顧客について言えば、2024年に比べるとパイプラインの段階で10倍くらい違っている。
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