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NTT島田明社長が語る、変わる巨艦の行方。グループ再編の理由、人事改革の狙い、後継者の条件・・・「つねに変化することで優位性を維持する」

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島田明(しまだ・あきら)/1957年生まれ。1981年一橋大学商学部卒業後、日本電信電話公社(現NTT)入社。主に財務・総務人事畑を歩み、2022年に社長就任(撮影:今井康一)

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民営化40年の節目にNTTデータグループを完全子会社化し、グループ再編が最終章を迎えたNTT。正式名称だった「日本電信電話」を通称の「NTT」に変更し、新たな企業ロゴを取り入れるなど、グループのCI(コーポレートアイデンティティー)も7月に刷新した。

グループ再編にとどまらず、人事改革、新規事業の育成と変わり続ける巨艦はどこに向かうのか。トップの島田明社長を直撃した。

事業ポートフォリオは変遷してきた

――前社長の澤田純会長の時代からグループの再編を推進し、2018年にNTT都市開発、2020年にNTTドコモ、そして今年、NTTデータグループを完全子会社化しています。改めてどのような課題認識があったのですか。

結果的に3社全部が親子上場廃止になったが、それぞれ理由があり、単純に「100%化したい」とやってきたわけではない。最初の都市開発は、NTT東日本・西日本などグループ会社の不動産を移管して再開発しようにも、上場していると、せっかくのリターンが少数株主に行く。グループ内のデベロッパーとしてのノウハウやリソースを都市開発に結集させ、合体させていく必要があるとの観点だった。

ドコモの100%化は、法人ビジネスの観点があった。ドコモの傘下に置いたNTTコミュニケーションズ(コム=現NTTドコモビジネス)は固定通信のソリューションを出す会社で、ドコモは法人向けモバイルのソリューションを出していたが、すごく弱かった。(通信規格)「5G」の世界になると、ソリューションとしてモバイルと固定が融合し、法人ビジネスを統合していかないといけない。それを行うには、ドコモを100%化していないとやりにくい。法人ビジネスをモバイル、固定のトータルで競合企業と同じように戦える体制を整える意味があった。

(9月末に100%子会社になった)NTTデータグループは、再編過程でグローバルビジネスを寄せてきた。まずコムのグローバルビジネスと英IT企業のディメンションデータを一緒にし、今度はNTTデータと一体化してきた過程がある。時代時代でわれわれはポートフォリオを変遷させている。民営化したころは(固定)電話でほぼ9割あったが、2000年代くらいに携帯電話が中心になり、だんだんソリューションビジネスが増え、今はいちばん大きいのがソリューションで、しかもその半分が海外だ。これからいちばん伸ばさないといけないのは、まさにここの分野。さらにリソースを投入し、中心プレーヤーとして成長してもらわないといけない。NTTデータグループのバランスシートだと小さく、とくにAI(人工知能)が急成長し、データセンター(DC)需要がものすごい。そこに対する投資を考えると、NTTデータグループも100%化したほうがよいとの結論になった。

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