
国内通信市場の成長が鈍化している中、 「グローバルカンパニー」を目指す方向性を鮮明にするNTT。2000年代以降に海外展開を本格化し、世界各地での企業買収や組織再編を経て、2024年度の海外売上高は2兆9624億円と、NTT全体(13兆7047億円)の21.6%を占める規模だ。
グローバル領域を牽引するのが、2022年に法人向け海外事業を集約したNTTデータグループ傘下のNTTデータインクである。ITサービスだけでなく、データセンター(DC)などのITインフラまでをフルスタックで提供。そこでは、アメリカのマッキンゼーのコンサルタントとしてNTTの海外事業育成に携わり、その後、NTTグループに移ったインド出身のアビジット・ドゥベイ社長CEOが2024年6月からトップを務める。NTTの海外事業はどのように変遷し、これからどう成長させるのか。ドゥベイ氏を直撃した。
海外ビジネスは3段階で拡大してきた
――マッキンゼーを経て、2021年にNTTグループに入社されましたが、過去のキャリアでNTTグループにどのように関わってきたのでしょうか。NTTに入社した経緯も併せて教えてください。
2000年にマッキンゼーに入社し、テクノロジーやハイテク領域を担当した。NTTグループが将来の成長エンジンとして立ち上げたグローバルビジネスに魅力を感じ、かなり内部に入り込んだ形でアドバイザーを務めてきた。NTT持ち株はもちろん、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、NTTドコモといった事業会社と関わり、どの国や地域に進出するか、買収でどういったケイパビリティー(組織の能力)を獲得し、それをどう統合、集約すべきか、といったプランニングに従事してきた。
NTTのグローバルビジネス拡大は、大きく3章で構成される。第1章は2007年から2017年にかけての「買収期」で、NTT持ち株が(イギリスのIT大手)ディメンションデータを買収し、NTTデータやNTTコミュニケーションズなども積極的に買収を進めた。
第2章がディメンションデータとNTTコミュニケーションズのグローバルビジネスを統合したインフラ会社NTTリミテッドの立ち上げだ。私は2019年ごろのプランニングと統合に関与し、2021年にNTTリミテッドCEOに着任した。(第3章として)NTTデータのグローバルビジネスとNTTリミテッドを2022年に統合し、2024年6月にNTTデータインクのトップに着任。当初、2010~11年ごろのグローバルビジネスの売上高は10億ドル未満と非常に小さかったが、現在では190億ドルまで成長し、従業員も15万人に上る。
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