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「民営化以来最大」の人事改革でNTTはどう変わった? 死語になる"最早組"、37歳の部長誕生・・・。制度の浸透・運用には課題も

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NTTは民営化以来最大といわれる人事制度改革で、NTTグループ内に大ナタを振るっている(NTT本社が入る大手町ファーストスクエア。撮影:今井康一)

1985年の民営化以来最大といわれた人事改革を経て、「官僚より官僚的」と揶揄された風土は変わったのか――。

NTTは2020年代になり、人事制度の抜本的見直しを進めてきた。2021年には全管理職を対象に、職務内容に応じた人事管理を行う「ジョブ型」の人事給与制度を導入。2023年4月からは一般職社員を対象とする人事体系も「脱・年功序列」と「専門性の強化」を軸に刷新し、管理職への昇進時期を制限する年次・年数要件を廃止、18分野の専門性に応じて昇格していく新制度を導入した。

従来にない抜擢人事が15%

「これから本当の実力主義になってくる。『最早(さいそう)』という言葉は、数年後には忘れられているだろう」。NTTグループの人事制度を統括するNTTの坂本秀治総務部門長はそのように話す。

「最早組」とは、かつてNTTの入社同期で出世が最も早いエリート社員を指し、NTTグループ内で広く使われた言葉だ。いったん出世ルートから脱落すると挽回が難しくなる官僚の事務次官レースを彷彿させ、“入社年次”が絶対視されるNTTの保守的な組織風土を象徴する言葉だった。総務省OBは「昔のNTTは『どうやって既存の権益を守るか』ばかりで、役所と一緒だった」と振り返る。

しかし、一連の改革を経て年次に応じた順番がなくなったことで、「最早」という言葉が使われる機会は、従来の人事体系と比べた現況を表現するときしかなくなりつつある。足元の昇格人事では、従来の最速ペースを上回る抜擢の比率が管理職、一般職社員ともに約15%に上るという。

管理職では、“旧最早”基準より6年早い37歳で部長に昇進した、NTTデータの安永章太郎氏の事例がある。2011年に入社した安永氏は公共向けシステム開発を担当し、2024年に第二公共事業本部の部長に昇進した。一方、管理職の入り口に当たる課長に最速で昇進した別の人物の年齢は、旧来基準より3年早い33歳。坂本氏は「これから20代の課長も早晩出てくるだろう」と予想する。

NTTドコモのベテラン社員は「同期より昇格が遅く、『逆転はないだろう』と思っていた人が3~4年早いスピードで昇格して追いつくという、従来にはないケースが出ている」と話す。「本当に優秀な人、起業など目立った活躍をしてバイタリティーのある人が飛び級している」(NTT東日本の中堅社員)。

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