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「グローバル」を一身に背負うNTTデータグループの真の実力。買収と再編の末に一体化、フルスタックでAI時代を支える新旗手目指す

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NTTデータグループはNTTのITサービスからデータセンターまで海外法人向け事業を一身に背負っている(撮影:尾形文繁)

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「われわれのグローバル市場における強みは、非常にユニークなポートフォリオを持つ点にあると自負している。マーケットをリードする最高水準のAI(人工知能)ファーストカンパニーになりたい」

NTTによる完全子会社化で9月26日に上場廃止となったNTTデータグループ。NTTが成長領域の「グローバル・ソリューション」と位置づけている同社が一身に背負うのが、NTTグループ全体の海外法人向け事業だ。ITサービスからデータセンター(DC)などのITインフラまでを「フルスタック」でグローバル展開し、ITサービス領域で世界8位、DC領域で世界3位の地位を獲得している。

サービスとインフラを併せ持つグローバルな総合IT企業は世界的にも珍しい。日本の国内市場では個人向けの固定、モバイル回線のいずれも成長が鈍化しつつあり、人口減少による内需縮小も想定されている。NTTによる完全子会社化を経て、中長期的な高成長領域として期待されているグローバル事業の最前線に立つNTTデータグループが、NTTグループの中心へと躍り出る。NTTデータグループ傘下で海外事業を統括するNTTデータインクのアビジット・ドゥベイ社長は冒頭のように話す。

買収と再編を経て「ワンNTT」へ

NTTの2024年度の海外売上高は2兆9624億円と、NTT全体(13兆7047億円)の21.6%を占める規模だ。もっとも、今でこそNTTデータグループの下で「ワンNTT」として海外法人向け市場に一体的に対峙するNTTグループだが、グローバル市場の開拓ではトライ&エラーを繰り返してきた歴史がある。

NTTは2000年代前半に海外で積極的に大型買収を実施したが、失敗続きだったといえる。2000年にNTTコミュニケーションズ(コム=現NTTドコモビジネス)がアメリカのインターネット関連企業ベリオを約6000億円で買収したが、直後のITバブル崩壊で巨額減損を計上。NTTドコモもアメリカのAT&Tワイヤレスに1兆円超を出資するなど、世界各地に進出を図ったものの、相次ぎ撤退を余儀なくされた。

グローバル領域が軌道に乗り出したのは、法人向けビジネスを本格的に展開し始めた2010年代以降になってからだ。現在に連なる歴史は、大きく「買収期」と「再編期」に分類することができる。

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