NTT西日本「トップ辞任後」に試される改革の真価 新規事業の育成託された「異色社長」は引責辞任

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引責辞任が決まったNTT西日本の森林社長は、改革を託された人物だった(撮影:ヒラオカスタジオ)

前途多難の「トップ交代」だ。

NTT西日本は3月1日までに、森林正彰社長が3月末をもって辞任し、NTT東日本の北村亮太副社長が後任に就く人事を発表した。

NTTグループでは、NTT西を含めた主要会社の取締役任期を1期2年と定めている。前社長の小林充佳氏が2期4年、前々社長の村尾和俊氏が3期6年務めたように、NTT西の社長の在任期間は近年、2期以上が通例だった。

2022年6月に就任した森林氏は、1期2年の任期すら満了せず、代表取締役社長の座を退くこととなる。3月19日、東洋経済の取材に応じた森林氏は辞任後の予定について「まだ何も決まっていない」と話しており、NTTグループを離れることとなりそうだ(森林氏のインタビュー全文はこちら)。

情報流出が辞任の引き金に

辞任の引き金となったのは、昨年発覚した子会社の不祥事だ。

昨年10月、NTT西の100%子会社であり、コールセンターシステムの運用・保守を手がけるNTTビジネスソリューションズにおいて、取引先の顧客情報928万件が外部に流出していたことが発表された。2023年2月ごろまでの約10年間にわたり、同社に在籍していた元派遣社員が顧客情報を不正に持ち出しており、森林氏はその監督責任を問われたわけだ。

不正が行われていた10年間のうち、森林氏が社長だった期間は半年強にとどまる。だが、監督官庁である総務省からは2024年2月に行政指導を受けるなど、社会的責任の大きさを問う声が社内外からあがっていた。「最高経営責任者である私が責任をとる(べきであるという)ことになった」(森林氏)。

今回問題となったセキュリティ対策については、監視・点検体制の強化や専門の対策チームの新設などにより、今後3年で約100億円規模を投じて強化していく方針だ。森林氏はこうした対応策の方向性にメドがついた段階で、辞任する運びになったとみられる。

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