一時期まで「法廃止」ありきで進んでいた議論。しかし状況は一変し、足元ではNTT側が”四面楚歌”の状態に陥っている。
「これより、採決を致します。本案に賛成の諸君の起立を求めます」
4月17日に開催された参議院本会議。尾辻秀久議長が呼びかけると、議長席を取り囲んで座っていた議員のほとんどが一斉に立ち上がった。「過半数と認めます。よって本案は可決されました」。
この日、NTTに課してきた規制や義務を一部緩和する改正NTT法が可決・成立した。研究成果の普及責務を撤廃し、外国人役員の就任規制を緩和したほか、「日本電信電話」という社名を変更することも可能となった。
改正法成立を受け、NTTは「技術や市場環境の変化に合わなくなっている規制について、引き続き、積極的に議論に参加・協力する」とコメントした。
「廃止ありき」で進んでいたが…
NTTの前身である日本電信電話公社の民営化に際し、国内市場の寡占を防ぐために制定されたNTT法。制定から40年近くが経った昨年、自民党内で抜本的な見直しの議論が突如浮上し、今回の法改正で盛り込まれなかったテーマについても総務省の有識者会議で検討が進んでいる(これまでの議論の詳細な経緯はこちら)。
アメリカのGAFAMが圧倒的な存在感を示す中、NTTを縛ってきた軛(くびき)から解き放ち、NTTを軸に日本の通信産業を世界で復権させる――。
こうした「夢のあるストーリー」(業界関係者)を、自民党の萩生田光一・前政務調査会長や甘利明衆院議員といった有力政治家が後押ししたとされる。総務省の有識者会議の関係者は「政治の意向が先行し、一時期まで『法廃止ありき』で進んでいる印象だった」と振り返る。
ところがここにきて、NTT法廃止が既定路線であるかのように見えた情勢に異変が起きている。それを象徴するのが、改正NTT法に設けられた附則の文言だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら