「四重苦」に見舞われたJ-REIT市場でついに見えた光明。下がり続けて3年半、2025年は勝負の年に

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6月11日、東京駅前に立つシャングリ・ラ東京の一室に不動産各社の幹部が続々と集まった。アジア太平洋不動産協会(APREA)の設立20周年記念カンファレンスに出席するためだ。
参加者の中でも目立ったのがREIT(不動産投資信託)関係者の姿だ。「Revitalizing J-REITs」。カンファレンスの中心議題にREITが据えられたからだ。機関投資家やアナリスト、大学教授なども交えて活発な議論がなされ、運用会社の幹部は「国内外の投資家からの注目が集まっていると感じた」と振り返る。
好調な日本株とは対照的に、REITは長らく置き去りにされてきた。東証REIT指数は2021年夏を天井に下落を続け、昨年末にはとうとうコロナショック直後の水準まで戻ってしまった。それが今年は一転して、底打ちの兆しを見せる。辛酸をなめ続けたREITは長いトンネルを抜けたのだろうか。

踏んだり蹴ったりの2024年
2024年、ただでさえ下がり続けていたREITは「四重苦」に見舞われた。
最初につまずいたのは年始。新NISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠に、REITの投資信託が採用されなかったのだ。不動産証券化協会はかねて東証REIT指数に連動する投資信託を採用するよう働きかけてきたが、叶わなかった。
新NISAが呼び込む資金の受け皿になれないどころか、つみたて投資枠に回す資金を捻出しようと、個人投資家がREITないしREIT投信を解約し始めた。2023年から2024年にかけては投信からの資金流出が続いた。
下げが下げを呼ぶ悪循環は、一度はまると容易には抜け出せない。2024年はREIT投信の主流である毎月分配型の基準価額も下がり続けた。投資家に分配金を支払うべく、投信が保有する元本を取り崩す「タコ足配当」が投資口価格の下押し圧力となった。翌月の決算では分配金を払うために一層多くの元本を取り崩し、それが相場のさらなる重しとなる負のスパイラルに陥った。
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