
「REIT(不動産投資信託)を買う理由なんて、何でもよかったのではないか」。アクティビストの3Dインベストメント・パートナーズから面談依頼を受けたという、REIT運用会社の幹部は振り返る。
1月28日。外はまだ肌寒かったが、REIT業界はそれ以上に肝を冷やした。3DがNTT都市開発リート投資法人(N都市)に対するTOB(株式公開買い付け)を発表したからだ。
2月13日には、阪急阪神リート投資法人(阪急阪神)にもTOBを開始。業界は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。REIT関係者が顔を合わせるたび、3Dとの接触の有無や、次に狙われそうな銘柄の話題で持ち切りになった。
フタを開ければ、懸念は杞憂に終わる。N都市のTOBには買い付け予定数の56%、阪急阪神に至っては0.2%しか応募が集まらず、3Dの目論見は不発に終わった。3Dが買い付けを始めた昨秋以降、半年にわたる攻防戦を切り抜けたREITだが、講じた防衛策は適切だったのか、課題も残した。
「純投資目的」の真偽
「招かれざる客」は突然姿を現した。3Dは昨秋から複数のREITに投資を始め、面談依頼を送っていた。REIT関係者の話を総合すると、上場銘柄の半数以上が要請を受けたようだ。銘柄に一貫性はなく、資産規模は数百億円から1兆円超、保有物件もオフィスや住宅、物流施設など多岐にわたった。
「成長戦略や還元など、ほかの機関投資家と遜色ないやり取りだった。威圧的な印象も受けなかった」。別のREIT運用会社の幹部は3Dとの面談風景を述懐する。しかし、こうも付け加えた。「『純投資』という3Dの言い分を真に受ける人は誰もいなかっただろう」。
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