
コロナ禍が直撃し債務超過に
観光客で賑わう静岡・熱海。市街地からバスで揺られると、伊豆半島からせり出し、相模湾上にひとり佇むホテルが見えてくる。1973年、当時の最先端技術を駆使して海上に建てられた「ホテルニューアカオ」だ。
その特徴的な立地から熱海の象徴とも称されたホテル。運営していたのは「ACAO SPA & RESORT(以下、アカオ)」。近隣の別棟や60万平米を誇る庭園のアカオフォレスト、そしてプライベートリゾートのアカオビーチを含めて、いずれもかつてはアカオの資産。一帯を「アカオリゾート公国」と名乗る時期さえあった。
が、在りし日の「公国」の姿はもはやない。コロナ禍が直撃し債務超過に転落すると、投資ファンドなどに保有施設の切り売りを余儀なくされた。それでも経営は持ち直せず、2024年7月、創業70周年という節目にして民事再生法の適用を申請した。現在は残る不動産も海外の企業へと渡り、現在はアカオフォレストなど一部施設の運営にのみ従事する。老舗リゾート会社が抱える優良資産は、倒産を契機にさまざまな投資家が触手を伸ばしてきた。
アカオの源流は1954年に赤尾蔵之助が開いた赤尾旅館だ。温泉旅行需要を捉えて業容を拡大させると、周辺の土地を次々と取得。前述のホテルニューアカオやフォレスト、ビーチなどを開業。2002年から「アカオリゾート公国」と称するようになった。

無料会員登録はこちら
ログインはこちら