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〈詳報記事〉名門ホテル社長インタビュー②パレスホテル。「ゼンティスの東南アジア出店もありうる」

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パレスホテル 社長 吉原大介氏
吉原大介(よしはら・だいすけ)/パレスホテル 社長。1978年生まれ。2000年慶応大学卒業。2011年にパレスホテル入社。2016年にコーネル大学経営大学院修士課程修了、パレスホテル東京副総支配人に就任。20年から現職(撮影:今井康一)

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インバウンド(訪日外国人観光客)の急増を受け、外資系ホテルの進出ラッシュが始まった。規模で勝る外国勢に日本勢が対抗するすべはあるだろうか。本特集では隆盛を極めるラグジュアリーホテルの最前線に迫った。
国内系では唯一外資系と並ぶ客室単価を上げるパレスホテル東京。今後はMC(管理運営受託方式)で台湾出店も検討している。海外出店の戦略や客室単価が上昇している背景を聞いた。

ブランドは一日にして成らず

──足元の業績は絶好調です。

2024年の売上高385億円、営業利益103億円は過去最高だ。事業部ごとに振り返ると、まず宿泊は客室単価が上昇し好調だった。

次にレストランは2023年に小島景氏がフレンチダイニングの「エステール by アラン・デュカス」のシェフに就任してからリピーターが増加している。またインバウンド宿泊客の滞在日数が増えて、レストラン利用が増加している。近隣の外資系高級ホテルに宿泊するインバウンドの利用も増えた。

宴会の件数はコロナ禍前と比べて85%程度だが、単価が上がったので売上高は戻っている。

──外資系ホテルほど会員網が大きくない中で、なぜ同程度の客室単価となっているのでしょうか。

「これだ」という理由はないが、2012年の開業時から細部にこだわってしっかりブランディングし、きめ細かなサービスを提供してきた。積み重ねの結果だと思う。ブランドは一日にして成らずだ。

また開業時には外資系ホテルで働いていた人材も加入してくれた。外資系に負けないラグジュアリーホテルを造るために必要なエッセンスや思いなど、我々が知らなかったグローバルスタンダードを知ることができた。

またグランドホテルであるということも大きい要因だろう。ロビーラウンジである「ザ パレス ラウンジ」では着物で給仕するスタッフがいるほか、土日には婚礼で白無垢や紋付袴を着た新郎新婦のお客様がいる。インバウンドからすると日本らしいホテルにも映るのだろう。

海外営業も強化している。建て替えの前から世界のエージェントへ営業に行き、パイプを持っているのが強みだ。世界中のラグジュアリーホテルが加盟するザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド(LHW)に加盟していることも富裕層が宿泊するきっかけになっている。現在は近隣の外資系ホテルをベンチマークにして単価設定をしている。

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