
「今は売り手市場。普通は低採算のところに行かないよ」。準大手ゼネコン幹部は、ビジネスホテル建設が難しくなっている背景についてそう語る。
ゼネコンやサブコン(空調や電気設備などの専門工事会社)は今、手持ち工事が豊富だ。各地で再開発が動き、半導体関連やデータセンターなど設備投資意欲は高い。一方、建設業には昨春から時間外労働規制が適用され、残業を抑えるために人手不足は深刻化。「施工能力はぎりぎりで、ゼネコンはどこも厳しい状況」(中堅ゼネコン関係者)といい、採算や工期を重視する「選別受注」が進む。
ゼネコン側には苦い記憶
ビジホ建設の現場では従来、複数のゼネコンに工事見積もりを依頼し、競わせて建設費を安くしてきた。ホテル開発幹部は「見積もりを3社から取ると伝えると『じゃあいいです』と断られる。コロナ禍以降、明らかにゼネコンの姿勢が変わった」と漏らす。ゼネコン側には苦い記憶もある。「支払い条件が悪いなど、チェーン系はかなり渋いことをしていた。受けないところは多いだろう」(別の準大手ゼネコン幹部)。
ゼネコン以上に「選別受注」を強めているのがサブコンだ。空調や電気で高度な設備を求める産業向けの好採算工事を優先する。サブコン関係者は「忙しすぎて、もはや低採算のものは取れない」と打ち明ける。ビジホ工事では1部屋ごとに空調工事をするため手間がかかることもネックだ。
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