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〈詳報記事〉名門ホテル社長インタビュー①帝国ホテル。「日本的価値観に基づいたホテルを造る」

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帝国ホテル 社長 風間淳氏
風間淳(かざま・じゅん)/帝国ホテル社長。1962年生まれ。86年明治大学卒業、帝国ホテル入社。人事や営業、企画部などを経て2025年4月から現職(撮影:梅谷秀司)

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インバウンド(訪日外国人観光客)の急増を受け、外資系ホテルの進出ラッシュが始まった。規模で勝る外国勢に日本勢が対抗するすべはあるだろうか。本特集では隆盛を極めるラグジュアリーホテルの最前線に迫った。
135年の歴史を持ち、日本を代表するホテルのひとつである帝国ホテル。4月に社長になった風間淳氏はプロパー出身として初めて東京の総支配人を経験していない。直近ではプロジェクト推進部で2026年春に開業する帝国ホテル 京都や東京の建て替えを担当していた。同社の命運を左右するプロジェクトをどのように舵取りしていくのか聞いた。

──プロパー社員で東京総支配人経験がないトップは135年の歴史で初めてです。

2025年1月末の指名報酬諮問委員会で指名されたのだろう。直後に定保英弥社長(現会長)から呼ばれ、次の社長に指名されることを伝えられた。「これまでやってきたことと、これから帝国ホテルが取り組まなければならないことを考えると、社長は君しかいないだろう、頑張れ」と言われた。

私は入社以来、フロントから経理や労務、人事、営業部、総支配人室までほぼすべての部門を担当した。直近では帝国ホテル 京都の開業と東京の建て替えを担当するプロジェクト推進部やコーポレート部門を担当していた。このような「何でも屋」は少ない。

その時々で帝国ホテルの事情があり、目的に沿った人材が社長になってきた。東京の総支配人が社長に就任する条件だったとは思わない。

京都開業は定保会長の夢だった

──長年準備を担当した帝国ホテル 京都が2026年春に開業予定です。

ハード面では遅れがなく、帝国ホテル 京都開業に向けた人材も25年4月にほぼ全員が入社した。1年前から採用を行い、徹底的に鍛える。開業直前に採用するホテルもあるが、当社のプロパーを中心に育てていく考え方は変わらない。今期は人件費が重くなるが、それは仕方がないと思っている。

すでに東京と大阪にある中、京都にも出したいとの考えはあり、開業は定保会長の夢だった。2018年に祇園の歌舞練場から声がかかり、帝国ホテル  京都を開発するに至った(歌舞練場敷地内にある弥栄(やさか)会館を保存活用)。

帝国ホテル 京都の客室数は55部屋で、同規模の上高地帝国ホテルと比べて人材を厚く配置する。付加価値を高めて、他社の最上位のホテルと戦いたい。日本人と外国人の宿泊比率は5:5から4:6の想定だ。

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