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「ポストトゥルース」の時代に年金不信は蔓延する/自分たちの平均実質年金額が増えるという事実を知らない若者たち

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年金手帳 年金問題のイメージ画像
(写真:kai/PIXTA)
8人の経済学者が輪番でお届けする『週刊東洋経済』の看板コラム。【水曜日更新】

現代は、事実よりも感情や信じたいことに反応する「ポストトゥルース(post truth)」の時代といわれている。先月の参議院選挙では、消費税や社会保険料の負担軽減が争点になった。こうした措置は社会保障給付の縮小につながりかねない。それでも一定の支持を集めたのは、若い世代を中心に「どうせ自分たちは公的年金などの給付に頼れない」という意識が根強いからだと思われる。

年金制度は破綻しない

実際、大学の講義で公的年金を取り上げると、多くの学生が「少子高齢化の下では年金制度は破綻する」との意見を示す。筆者は「公的年金制度には、現役人口の減少や平均余命の伸びに応じて年金の給付水準を調整する仕組みが組み込まれているので、財政的に破綻しない」と説明する。

しかし、学生は納得しない。「少子高齢化に応じて給付水準が低下すれば、自分たちが高齢期になった頃にはまっとうな年金額を受給できない」と不安を口にする。そこで、厚生労働省が昨年初めて行った、「出生年度別の65歳時に受給する平均年金額」を記したいわゆる分布推計を見せると、学生は一様に驚く。若年世代が受給する年金額は、今の高齢者よりも高いことが示されているからだ。

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