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高市早苗政権の「責任ある積極財政」を問う/国債・為替の市場は政権に忖度しない/取捨選択のワイズスペンディングがカギを握る

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高市早苗首相
(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

高市早苗首相は強い経済を構築すべく「責任ある積極財政」を掲げる。戦略的な財政出動で所得増や消費マインドの改善、事業収益の向上といった好循環を実現、「税率を上げずとも税収を増加させること」を目指すという。

この財政出動には日本成長戦略本部で決めた、AI(人工知能)・半導体など17分野への支援・投資を含む。仮に財政赤字が増えても成長率の範囲に収まれば政府債務残高の対GDP(国内総生産)比は低下し、財政の持続可能性は確保できる。これが政権の筋書きだ。

インフレ下の経済対策とは言いがたい

8人の経済学者が輪番でお届けする『週刊東洋経済』の看板コラム。【水曜日更新】

しかし、そううまくいくだろうか。ガソリン税の暫定税率廃止や所得税の基礎控除(「103万円の壁」)の引き上げによる減税、自治体への重点支援地方交付金の拡充を通じた家計・中小企業への支援は、(対象を的確に絞らない限り)もっぱら需要を喚起するデフレ対策の性格が強い。人手不足など供給制約によるインフレ下の経済対策とは言いがたい。成長投資にしても既存の企業を保護するだけなら、産業の新陳代謝やイノベーションの創出にはつながらない。

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