
――あなたはMMTの生みの親でありながら、ヘッジファンドの元投資家としても知られています。ヘッジファンド時代に日本国債(JGB)の取引を行ったことはありましたか。
実は1996年にわれわれが運用していたファンドは、同年9月限のJGB先物の最大の買い手だった。当時、先物価格が公正な市場価値よりも割安で取引されていたからだ。そこでスワップ市場で固定金利を支払い、12月限の先物を売るなど、さまざまな関連取引を行った。
結果として、総額約200億ドル相当のJGBのポジションを構築した。当時としては非常に大きな金額だった。一方で、われわれに国債を売っていたディーラーは、保有せずに空売りしていた。このことを知った金融当局が激怒し、免許剥奪などあらゆる脅しをかけていたようだ。
事実、そのディーラーは発行された以上の国債を売り越しており、深刻なショート・スクイーズ(注:空売りをしていた投資家が買い戻しを余儀なくされること)が発生した。非常に劇的な展開で、われわれは大きな利益を上げた。
「円」の唯一の発行者は日本政府
――これまでにも多くの投資家が日本国債の空売りに挑戦してきました。
これは日本がデフォルトすると考え、運に任せるような取引だが、まったく成功してこなかった。同じようなことがもう30年も続いている。
日本銀行の内部の人間は誰もが理解しているのに、一般に理解されていない事実がある。それは、日本政府が自国通貨である「円」の唯一の発行者であるということだ。
政府は、誰かが税金を支払ったり国債を買ったりできるようになる前に、まずその円を支出しなければならない。政府が国債を売るとき、その購入に使われる円は、すでに政府によって支出されたものだ。
政府は支出するために国債を売るわけではなく、まず支出があり、その後に納税や国債購入が続く。具体的には、財務省が日本銀行に対し、支払いを受ける相手の口座に入金するよう指示する。これが円の残高が生まれる源泉だ。劇場がまずチケットを販売し、それから回収するのであって、その逆ではないのと同じだ。
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