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JGBに回帰!ゆうちょ銀行が描く「日本国債積み増し戦略」の勝算、ゴールドマン・サックス出身の笠間貴之社長に直撃

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ゆうちょ銀行の笠間貴之社長
笠間貴之/かさま・たかゆき 1973年生まれ。1996年日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。2000年ゴールドマン・サックス証券入社。2011年マネージング・ディレクター、クレジット・トレーディング部長就任。2015年ゆうちょ銀行市場部門執行役員就任。2023年取締役兼代表執行役副社長、2024年4月より現職(撮影:尾形文繁)

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国内銀行で2番手となる預金残高190兆円を誇るゆうちょ銀行。日本銀行による政策金利の引き上げを追い風に、2期連続で最高益を更新している。郵政民営化法により融資業務が制限される同行にあって、収益拡大に寄与しているのが日本国債(JGB)の運用だ。
国債投資に消極的な銀行が目立つ中、同行は「積極投資」を明言している。最近まで「国債離れ」を進めてきた同行が、どのような運用戦略を立てているのか。ゴールドマン・サックス証券出身で、2024年4月にゆうちょ銀行社長に就任した笠間貴之氏に聞いた。

――「金利ある世界」に突入しています。日本国債の市場環境をどのように見ていますか。

ゼロ金利やマイナス金利時代は、流動性がほとんど失われていた。当時は証券会社も日本国債のトレーダーを減らしていたが、今では逆に円スワップディーラーや日本国債トレーダーを探している状況だ。

日本国債に金利がついたことで流動性が復活し、売買が活発になっている。市場の「機能回復」という意味でも非常に良いことだ。

――ゆうちょ銀行はこれまで国債の残高を減らしてきました。今は運用戦略を見直しているフェーズでしょうか。

その通りだ。積極的に減らした時期もあったが、過去に減らした分を復元したい。日本の金利はさらに上がると思っており、もう一度、日本国債市場に参加することに意義を見出した。

かつては日本国債が「9割」

もともと運用ポートフォリオの9割が日本国債だった。しかし、国内金利が低下したことで残高を減らす一方、クレジット商品や外国債券などに活路を見出し、分散化されたポートフォリオをつくってきた。

ただ、円貯金を起点とするわれわれにとって、日本国債は最もフィットしやすいプロダクトだ。金利低下局面で日本国債を減らしたのであれば、金利がついてくる局面で残高を回復するのはおかしい話ではない。

ゆうちょ銀行の運用資産の推移
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