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債券市場が気を揉む「T プレミアム」の正体、参院選の結果次第では債券市場のさらなる混乱も

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参院選ポスター掲示板
7月20日に投開票が行われる参議院議員選挙では、ほぼすべての政党が拡張的な財政政策を掲げている(編集部撮影)

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超長期債利回りの急上昇に揺れる債券市場。マーケット関係者の間で囁かれているキーワードがある。「Tプレミアム」だ。

債券市場におけるTプレミアムと言えば、「タームプレミアム」を思い浮かべるかもしれない。タームプレミアムとは、投資家が長期債に投資する上で発生する金利変動やインフレ等のリスクに対して要求する「上乗せ金利」のことだ。

Tプレミアムの「T」とは

しかし関係者によれば、Tプレミアムの「T」とは国民民主党代表の玉木雄一郎氏と、自由民主党で前経済安全保障相の高市早苗氏のイニシャルを指しているという。この2人に共通するのは、積極的な財政政策を訴えていることだ。

玉木氏は、財政・金融政策による需要超過状態の継続を志向する「高圧経済論」の支持者とされ、参議院議員選挙の公約でも消費税減税やガソリン減税などを掲げている。新聞社などの事前の情勢調査によれば、改選4議席を2倍以上に増やす見込みだ。

一方、高市氏は大胆な金融政策や機動的な財政政策を掲げた「アベノミクス」の継承者とされる。自民党は参院選で厳しい戦いが予想されており、結果次第では石破茂総裁の交代もありうる。その場合、昨年行われた自民党総裁選の決選投票で敗れた高市氏は、有力候補の1人となる。

つまりTプレミアムとは、参院選における国民民主党の躍進や高市氏の総裁就任による財政拡張リスクを加味したうえで、投資家が超長期債市場で要求する"追加の上乗せ金利"を意味している。こうした「財政プレミアム」は、年限の長い国債ほど大きく反映されやすい。

実際、4月の超長期債利回りの上昇は、トランプ関税ショックを受けたポジションの解消による影響とされる一方、5月の上昇は財政拡張リスクによる影響との見方が有力だ(詳しくはこちら)。

もっとも、参院選の公約では、ほぼすべての政党が給付金や減税など拡張的な財政政策を掲げている。「Tプレミアム」というキーワードが囁かれ始めたのは5月ごろだが、7月の金利再上昇が示すように、「Tプレミアム」は形を変えてより現実的なリスクとして浮上してきているわけだ。

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