有料会員限定

〈インタビュー〉飲食業界の常識を覆すか? シェアダイン共同代表の井出氏が描く「シェフの働き方の未来像」

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
シェアダイン井出有希
シェアダイン共同代表の井出有希氏(撮影:今井康一)

特集「なり手がいない!シェフ・料理人」の他の記事を読む

ベンチャー企業のシェアダインが提供する「スポットシェフ」。シェフ・調理人と飲食店をマッチングするこのサービスの利用者は近年急増しているという。どのような事情が背景にあるのか。共同代表の井出有希氏に聞いた。

――スポットシェフは、事業としてどのぐらい伸びているのでしょうか。

会社の業績は非公開だが、2024年11月に総額18億円の資金調達を完了した。この金額を調達できるのは、現在は成長段階、投資段階にあることを示唆している。

売上高の内訳を見ると、スポットシェフ事業が85%を占めており、創業当初の事業である家庭にシェフや調理師を派遣する出張シェフ事業は15%にとどまっている。2023年から本格的に始めたスポットシェフ事業が、大きく伸びている。

スポットシェフに登録しているシェフは、この7月に2万5000人を超えた。2018年のサービスローンチ時にはわずか50人だったので、驚異的な伸びだと認識している。登録者のボリュームゾーンは30代から40代のキャリアを持ったシェフたちだが、若手からベテランまで幅広い年代にご利用いただいている。

利用急増の背景に飲食業界の深刻な課題

――サービスを活用する店舗は全国にあるのでしょうか。

数は首都圏が多いが全国でご利用いただいている。利用店舗には全国的に有名なレストランやホテルも含まれる。沖縄の外資系ホテルや新潟の国内大手ホテルなどは季節ごとの需要に応じて利用しているようだ。活用は給食施設や大手企業が運営する大学寮などにも広がっている。

――本格展開の転機となったのは?

(2020年ごろからの)新型コロナウイルス感染症の流行だった。当時、有名ホテルやミシュラン三つ星レストランで働いていた料理人たちが、一時休業やお店の閉鎖により仕事がいつ入るかわからない状況に陥り、当社の出張シェフに多数の方が登録した。

それらの方々は「料理は続けたい」という強い思いを抱えていた。これにより、店舗に頼らない働き方を求めるシェフが数多く存在することが明らかになった。一方で、飲食店側もシェフを「特定の曜日だけ」「予約がたくさん入る日だけ」採用したいといったニーズを抱えていた。

こうしたニーズに応える形で、2023年にスポットシェフ事業を本格的に開始した。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD