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地方銀行がピンチ、金利復活で個人預金が大流出。そこかしこで顕在化するマイナス金利時代の「ひずみ」、39行が有価証券評価損に

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銀行を金利ショックが襲っている
17年ぶりの利上げで業績が改善したかに見える日本の銀行界。だが、金利が復活したことで超低金利時代の「ひずみ」が顕在化し、銀行経営にかつてないさまざまな問題が浮上している(写真:bee / PIXTA)

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一夜にして世界が変わった――。日本銀行による利上げへの期待を背景に、好調に推移してきた銀行株。だが、4月2日にアメリカのトランプ大統領が「相互関税」を発表すると、瞬く間に「負け組セクター」へと姿を変えた。

全面安となった4月3日の株式市場で、TOPIX銀行業指数は前日比7.2%安と全33業種で最大の下落率となり、その後もTOPIXとの差を縮められずに推移している。

TOPIXとTOPIX銀行業指数との比較

銀行株が売られる最大の理由は、利上げ期待が大きく萎んだことだ。マーケットは年内にあと2回の利上げ(年央と年末)を予想し、現在0.5%の政策金利が年末までに1%に到達すると見込んでいた。来年も継続的な利上げが予想され、政策金利2%もかすかに見え始めていた。

それがトランプ関税で一変。政策金利が1%を大きく超えていく期待は泡と消え、銀行株のバリュエーションも「追加利上げの織り込みはほぼ消滅している」(銀行株アナリスト)。実質金利の低さなどから、年内1回の利上げ予想は根強いものの、いずれにせよ政策金利の見通しは絶対値として1%あるかないか。「想定していた『金利ある世界』にはほど遠い」(マーケット関係者)とのトーンが市場に垂れこめている。

金利上昇でも下落する第二地銀の株価

利上げ期待の縮小によって地方銀行の株価も大きく下落しているが、むしろ利上げにより株価が下落した銀行群がある。第二地方銀行を中心とする中小規模の地銀だ。

マイナス金利の解除時期である昨年3月末から、相互関税が発表される直前の今年3月末の株価を比較すると、全国地方銀行協会に加盟する地銀の株価は単純平均で10.22%上がっているのに対し、第二地方銀行協会に加盟する第二地銀の株価は逆に2.44%下落する結果となった。

数で見ても、上場する第二地銀20社のうち65%に当たる13社で株価が下落している。

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