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アップルとグーグルによる独占支配を規制せよ、それができなければアメリカはデジタルイノベーションの次の時代をリードすることはできない

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筆者のジーン・バルス氏は「アメリカの消費者と企業は、競合する企業やビジネスモデルを潰し、自社の利害に従順であるように不当な影響力を行使するデジタルゲートキーパー(アップルとグーグル)の搾取に苦しみ続けている」と分析する。写真はインフルエンサーや開発者たちと交流するアップルのティム・クックCEO(写真:ブルームバーグ)

アップルのiOSとグーグルのアンドロイドという2つのOS。この2つのOSがモバイルアプリのエコシステムを支配している。過去10年間で、2つの問題について世界的なコンセンサスが形成された。

チェコ・プラハに本拠を置く国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」は多くの有力者の論評・分析を配信しています。「グローバルアイ」では、主に同シンジケートのコラムの中から厳選して翻訳・配信しています。

第一に、これらのプラットフォームは、消費者やビジネスユーザーから独占的な利用料を引き出すための持続的な市場支配力を蓄積しており、その支配力を維持するために反競争的かつ濫用的な行為を頻繁に行っているということ。

第二に、多くの国や政府を凌駕するほどの資源と権力を有するこれらの企業の支配力を抑止するためには、既存の独占禁止法の下での規制では時間がかかりすぎ、不確実性が高すぎるということである。

デジタルゲートキーパーの搾取に苦しみ続けている

もちろん、アメリカ、欧州、ブラジルや他の国で、従来の競争法の執行により、いくつかの重要な事例が生まれている。しかし、そうではなく新たな立法措置が必要になっている。

EUなど多くの地域では、ビッグテックの権力と乱用を抑制することを目的とした法律が可決されていたり、検討されていたりする。

アメリカでも、仕掛かったことがある。2022年には「オープンアプリ市場法(Open App Markets Act)」が超党派で支持された。その年、この法案は議会で大きく前進し、上院司法委員会を20対2の賛成票で通過している。ところが、上院の指導部はその他の優先事項のために、この法案を議場での採決に回さなかった。

現在、このような法案の必要性がさらに高まっている。

アメリカの消費者と企業は、過剰な賃料(利用料)や手数料を搾取し、自社の利害と競合するような企業やビジネスモデルを潰し、従順であるように不当な影響力を行使する(時にはアクセス拒否を通じて)、デジタルゲートキーパーの搾取に苦しみ続けているからだ。

既存の独立系開発者やイノベーターがビジネスを構築し、雇用を創出し、消費者に利益をもたらすためには、オープンな競争を確保することが極めて重要だ。デジタルイノベーションへの投資先として、次なる大国となるのは、この問題を正しく理解し、迅速に実行できる国である。

有意義な競争を復活させた場合に何が起きるだろうか。その場合に市場に与えられるチャンスは計り知れない。これは単なる憶測ではない。過去に実例があるのだ。

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