元イタリアンシェフ「コロナ禍で1500万借金」から《万博出店》へ。「家賃2万円」おんぼろとんかつ店が月商2700万円に急成長した「振り幅戦略」

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『とんかつ乃ぐち』オーナーシェフ 野口典朗さん
大阪・関西万博の店舗の揚げ場に立つ『とんかつ乃ぐち』オーナーシェフ 野口典朗さん(筆者撮影)
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2025年大阪・関西万博に唯一の“個人店”として出店し、月商2700万円を上げている店がある。『とんかつ乃ぐち』だ。
しかし、この店のオーナーシェフが3年前まで1500万円の借金を抱え、「家族3人全員が無職」という絶望的状況にあったと知る人は少ない。どん底からの万博への挑戦。いったいどのように計画を進め、成功を収めたのか。復活劇を取材した。

万博に「寝泊まりする」料理人

2025年夏の某日、朝6時。大阪・関西万博の一角で「目覚めた」男性がいる。とんかつ専門店『とんかつ乃ぐち』のオーナーシェフ野口典朗さんだ。2025年4月13日に大阪・関西万博が開幕する前から家に帰らず、店のバックヤードで寝起き。朝6時半から深夜12時まで、どっぷり“とんかつ漬け”の日々を送っている。

「骨の髄まで、万博で仕事をする体験をしゃぶりつくしてやろうと思って」

そう笑う野口さんはひとたび店が開くと、材料をとりにいく以外、約90センチ四方の「揚げ場前」からまったく動かなくなる。とんかつに “全集中”できるセッティングがなされているのだ。

とんかつを揚げている様子
揚げている間、野口さんは一瞬も油から目を離さない。また、揚げる音も楽しんでもらえるよう、換気扇の音は最小にして、BGMもかけない(写真提供:とんかつ乃ぐち)

彼のとんかつは、ただのとんかつではない。高校時代から食べ歩き、研究を重ねて「理想の味」を追求する、いわば「究極のとんかつ」なのだ。全国60種類以上の銘柄豚を食べ比べ、選りすぐった銘柄豚10種を、「一銘柄・一貫ずつ、コーススタイルで」提供している。

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