元イタリアンシェフ「コロナ禍で1500万借金」から《万博出店》へ。「家賃2万円」おんぼろとんかつ店が月商2700万円に急成長した「振り幅戦略」

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『LYB豚(ルイヴィトン』肩ロース
筆者が食べたコースに登場した、静岡県産の銘柄豚『LYB豚(ルイビトン)』肩ロース。パンを思わせるやわらかさで、噛むほどに、控えめな甘みが感じられる(筆者撮影)
山形県平田牧場の『金華豚』リブロース
山形県平田牧場の『金華豚』リブロースは、もっちり食感でたんぱくな味わい。先端の脂身からは、野趣を感じる肉汁があふれる。「脂身はマグロのトロ感覚で、たまり醤油で食べるのがおすすめ」と野口さん(筆者撮影)

この「究極のとんかつ」を、カウンターで野口さんの手さばきを眺めつつ味わえるとあって、『とんかつ乃ぐち』の予約は、毎月数分で埋まってしまう。

と、ここまで読んで、「さぞや有名なとんかつ店で修業した人なのだろう」と思ったかもしれない。だが野口さんは2021年まで、イタリアンレストランのオーナーシェフだった。

なぜ彼が4年後の今、万博にとんかつ店として、それも唯一の個人店として出店しているのか? そこには、1500万円の借金のどん底からとんかつに再起をかけた男の、波乱万丈な人生があった。

家族全員無職、借金は1500万

野口さんが料理人を志したのは、小学4年生のときのこと。叔母の知人に連れられて行った会員制のフランス料理店で、「フルコース」を食べた体験が忘れられず、「料理人になる」と決めた。

高校卒業後にイタリアンレストランに就職。コツコツ腕を磨き、入社10年、30歳のときに責任者として店の起ち上げを任された。2年半で月商500万円以上の繁盛店に育てたが、2020年のコロナ禍で経営は赤字に転落。2021年9月に倒産し、共同経営者だった野口さんには1500万円の借金が残った。

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