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元イタリアンシェフ「コロナ禍で1500万借金」から《万博出店》へ。「家賃2万円」おんぼろとんかつ店が月商2700万円に急成長した「振り幅戦略」

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しかし、いざとんかつの試作をはじめてみると、試作しても試作しても、「思ったような味」にならなかった。「これは実際に自分でお店をやってみないとわからなへんなと」と楽しげに笑う。この探究心こそが、野口さんの強みだ。

開店前の1カ月間はさまざまなとんかつ店を巡り、その味の再現とアレンジを繰り返した。野口さんが「おいしい」と感じるとんかつに仕上げるため、何度も試行錯誤が繰り返された(写真提供:とんかつ乃ぐち)

「お化け屋敷」に隠された戦略

メニューと同時に店づくりもはじまった。再起をかける場所に選んだのは、大阪・中津の「おんぼろアパート」。家賃2万円でも8年間借り手がつかず、近所の人からは「お化け屋敷」と呼ばれていた物件である。阪急の中津駅から徒歩6分の場所ではあるが、路地を入った奥にあり、人通りも少ない。

なぜそんなリスクのある場所を選んだのか。そう尋ねると野口さんは、「おんぼろアパートなのがいいなと思って」とにんまり。

「今から僕がやることは、絶対に通りすがりの人では理解されないけど、とんかつ好きは反応してくれるに違いない。本当にとんかつ好きな人が、とんかつを求めてくるお店にしたかったんです」

加えて、「人は物事に振り幅があったほうが感動しやすい。ならば、建物は一番底辺から入ってもらおうと思った」とも。

中津にあった『とんかつ乃ぐち』の外観。オープン前、野口さんと仲間で丁寧にDIYがなされた(写真提供:とんかつ乃ぐち)

ゲストが、「こんなボロい店で大丈夫?」と不安になりながら足を踏み入れると、豪華ではないが清潔でかわいい空間と、ソムリエによる本格的サービス、天然木のカウンター、有名作家の器、そしてなにより、「お客様の要望を聞きながら、お客様のことを考え、とんかつを1個ずつ丁寧に揚げる」シェフが待っている。そこで、「おいしさに思わず天井を見上げる」とんかつが味わえたら最高だと思ったのだ。

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【「お化け屋敷」の成功】

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