元イタリアンシェフ「コロナ禍で1500万借金」から《万博出店》へ。「家賃2万円」おんぼろとんかつ店が月商2700万円に急成長した「振り幅戦略」

「2分で500席が売り切れる」人気店に
夜もとんかつ中心になっていくのに比例して、予約はどんどん増えた。半年後には予約電話の不在着信が70件以上溜まるようになり、とんかつのコース提供を始めると、「2分で1カ月分500席の予約枠が全部埋まる」状態になった。
ちょうど新型コロナウイルスの蔓延で、「グループで食事に行けないが、1人か2人でなら食事に行ける。だったら面白い店に行きたい」といったニーズが増えた時期だったことも要因だ。野口さんは元々その客層を狙っていた部分もあり、うまく波にのれたのだ。
さらにメディアも、「1貫ずつとんかつを提供する珍しいスタイル」と、わずか5席だけの「お化け屋敷のような店」の話題性をほうっておかなかった。テレビや雑誌の取材を数多く受け、俳優や有名人もお忍びで来るように。店は一気にメジャーになった。
2024年には、客単価は昼2400円から4800円へ倍増。一般的なとんかつ店の600~1500円と比べると、破格の高単価だ。夜はコースで8800円、回転数は昼3~4、夜2~3。「わずか5席で月商400万~450万円」という、驚異的な坪効率を実現した。
オープンから3年、「おばけ屋敷」からの出発としては十分すぎる成功だ。ところが2024年12月29日、『とんかつ乃ぐち』は突然閉店する。
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