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〈インタビュー〉老舗結婚式場「八芳園」が創業来最大のリニューアル、「ホテルではないこと」がMICE事業では強みに

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八芳園
「唯一無二の日本庭園を中心に施設がどうあるべきか考えた」と語る八芳園の関本敬祐取締役総支配人(撮影:尾形文繁)
結婚式場運営の「八芳園」(東京・港区白金台)は10月、1943年の創業以来最大規模のリニューアルを経て、グランドオープンした。江戸時代の大久保彦左衛門の屋敷を由緒とし、約400年の歴史を持つ日本庭園が最大の売りだ。また「東京4大式場」の一角としても知られる。
リニューアルを経て会場の数は、婚礼利用が17から12に、宴会利用は23から19に減った。一方、大型バンケット会場を増設するなどしたことで、国際会議や企業のイベントなどの開催ニーズを一層取り込む狙いだ。リニューアルを主導した関本敬祐取締役総支配人に戦略を聞いた。

――全体を建て替えるのではなく、既存の建物を生かす形でリニューアルした理由を教えてください。

当初は建て替えも、高層ビルを建てて(婚礼や宴会を行う)バンケットビジネス以外の収益をつくることも、選択肢にあった。

ただ、当社の最大のミッションは日本庭園を守り続けていくこと。はたしてビル型にして日本庭園と調和できるのかということもある。結果、リニューアルで歴史を継承することが、八芳園として新しいところに進むうえで合っていると判断した。

――経済産業省の「中堅・中小成長投資補助金」のサイトには、今回の事業費が68億円、補助額20億円と出ていますが、総事業費を非公表にしているのはなぜですか。

(新しい会場やメインロビーの改修費用などの)お客様のスペースでかかる部分、(空調やDX化などの)インフラでかかる部分、それ以外でかかる部分でいろいろと区分けが違い、複雑になっている。世の中で言うリニューアル総費用と、当社が言う総費用が全然違ってくるため公表はしないことになった。

――2024年9月期の売上高は95億円。売り上げ規模に対してかなり大きな投資額だと思います。

投資資金は、借り入れだったり自社からの資本を一部入れたりして用意した。計画的な返済はもちろんできる状態であり、危ない橋を渡りにいくわけではない。確実にいけるというところで投資額を捻出している。初年度から黒字となる計画だ。

挙式への「不安」や「迷い」に向き合う

――婚礼では、VR(仮想現実)で披露宴の様子を体験できたり、料理を味わったりして打ち合わせができるスペース「インスピレーションサロン」を新設しました。

市場が縮小すると言われる中でも、結婚式を行う方々がゼロになるわけではない。どうやって勝ち残っていくかというと、薄利多売の路線に進むよりも、高単価・高品質の領域にいきたいと考えている。

ウェディングの中で仕方ないと言われている「当日まで見られない」「当日まで不安」という課題を少しでも解決する狙いで、体験型の打ち合わせができるサロンへと改修した。

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