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雅叙園、三越伊勢丹に「婚礼・冬の時代」が判断迫る。背景に「コロナ禍を機に底が抜けた」日本の婚姻件数

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ホテル雅叙園東京
都内有数の結婚式会場として知られる「ホテル雅叙園東京」。施設の一部は東京都指定の有形文化財だ(撮影:今井康一)

春の到来で観光シーズンが幕を開けようとしている中、本格的な「冬の時代」を迎えようとしているのがウエディング関連事業だ。

東京四大式場の一角に数えられる名門「ホテル雅叙園東京」(東京・目黒)が10月からの一時休館を突然発表し、結婚式を予約していた人たちが戸惑う事態になったことは記憶に新しい。

「9月30日をもって建物所有者との定期建物賃貸借契約が満了となるため」に一時休館すると雅叙園は説明した。しかし営業再開時期が未定なうえ、婚礼や宴会、宿泊などで受けた予約を急にキャンセルしたことに疑問の声が出た。

「雅叙園はリニューアルして婚礼部門を縮小し、儲かる宿泊部門を強化するのではないか」。それがホテルやファンド関係者共通の見立てだ。

婚礼は儲からない

ホテルにとって婚礼は儲からないビジネスだ。ウエディングドレスは衣装会社、花装飾は装花会社、撮影はカメラマンなど外部業者に委託するものが多く、原価がかさむ。直接的な儲けになるのは、食事代と会場代程度しかない。

ホテルにとっての稼ぎ頭は宿泊だ。清掃やリネン交換などで費用が発生するが、その額はほかの事業より少なく利益率が極めて高い。

現状、雅叙園の客室数は60室のみ。インバウンドの影響で東京など都市部のホテルの宿泊単価が急騰している中、「儲からない婚礼」から宿泊にシフトチェンジするのは理にかなう選択といえる。

企業によるウエディング関連事業の見直しは引き出物の分野にも及んでいる。

三越伊勢丹は今年2月に引き出物の卸売りから撤退した。自社のギフトサロンなどでの引き出物販売は継続している。

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