〈長期経営戦略〉オリエンタルランドが打ち出した「売上高1兆円以上」目標、東京ディズニーリゾート入園者の「数・単価・満足度」が成否を左右

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9月24日(水)オリエンタルランド社長語る「入園者数増加」の策
7月1日朝、青空が広がった東京ディズニーランド(TDL)。人気アーティスト「Mrs. GREEN APPLE」が担当したテーマソングが流れる中、3人のメンバーやミッキーマウスらがオープンカーに乗ってサプライズで登場すると、沿道に集まった人々は一斉にカメラのシャッターを切った。
TDLや東京ディズニーシー(TDS)などの施設を有する東京ディズニーリゾート内のアトラクションで、日本人アーティストの楽曲が起用されるのは今回が初めてだ。幅広い世代に人気のあるアーティストとのコラボレーションで、来園の動機づくりや顧客体験の向上を狙った。
異例となるコラボの背景には、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが「夏の集客」に苦戦していることがある。これまで夏休みシーズンは書き入れ時だったが、近年の猛暑の影響で一変した。
「夏が喫緊の課題」と高橋社長
公表されている入園者数動向をみると、2024年の4~6月は前年同期を「上回った」としていた。ところが実数を開示している4~9月の累計は、約1219.6万人と前年同期から約30万人減っていた。夏の苦戦は明白だ。
オリエンタルランドの高橋渉社長は、「夏が喫緊の課題で盛り上げていかないといけない」と危機感を隠さない。今年度は水に濡れるエンターテインメントやアトラクションなどでコラボ、屋外に空調機を増設するといった暑さ対策も拡充し、テコ入れを図った。
今年7月の入園者数は弱含んで推移したものの、8月以降は回復傾向にあるという。コラボ効果について高橋社長は、「話題醸成にもなりファンの方にもお越しいただいて、その中にはディズニーから遠ざかっていた方もいただろう」と語る。
オリエンタルランドは今、転換期を迎えている。今春発表の「2035長期経営戦略」で「2035年度に売上高を1兆円以上にする」という目標を掲げた。2025年度の売上高予想は6933億円。今後10年で3000億円以上積み増す必要がある。
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