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東京都神社庁の元幹部が横領で起訴、組織トップが反省する「ガバナンス欠如と性善説」

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松山文彦(まつやま・ふみひこ)/東京都神社庁長。1944年生まれ。国学院大学神道学専攻科卒。熱田神宮権禰宜を経て、1980年に東京大神宮権宮司、1990年に東京大神宮宮司。2013年~2016年東京都神社庁長。庁内の混乱を収めるため、2025年4月から2度目の庁長に
東京地検はこのほど、東京都神社庁(都神社庁)の元幹部(神職の資格を持ち、都内神社の元宮司)を業務上横領罪で起訴した。元幹部は都神社庁の運転資金の一部、約2500万円を自身の口座に不正に送金していた。元幹部は2023年1月に都神社庁を懲戒解雇され、2024年10月には警視庁から業務上横領容疑で書類送検されていた。起訴は8月26日付。
この横領については23年5月、「神社庁幹部による約3000万円の『横領』が発覚」で詳報した。
元幹部の起訴を受け、都神社庁は9月6日、庁長である松山文彦氏の名義で「お知らせ」を管内の各神社や一部メディアに配布した。お知らせの中で、事件への対応が遅れたことや、外部の専門家による調査チームによる報告書が作成され、事件の背景や業務の課題が示されたことなどを報告し、「本事件を深くお詫び申し上げる」とした。
都神社庁は2024年8月、当時の小野貴嗣庁長が刑事告訴に踏み切ったが、当初、責任追及の動きは鈍かったという指摘もある。刑事告訴などの手続きが遅れたのはなぜか。2025年4月に都神社庁長に就いた松山文彦氏に聞いた。

――元幹部が業務上横領罪で起訴されました。

東京都内1400の神社を束ねる東京都神社庁の庁長として、関係者の皆様に深くおわび申し上げる。横領が発覚した2022年から2023年当時、私は庁長ではなかったが、今年4月に再び庁長に就任して以降、当時の状況を役員たちから詳しく聞き、最高意思決定機関である臨時協議員会の議事録を読み、全体像を把握したつもりだ。社会の師表(模範)たるべき神職がこのような事件を起こしたことは、道徳心を体現していくべき神社界にあって痛恨の極みだ。

――松山庁長が公表した「お知らせ」には、横領発覚後の都神社庁の動きについて「対応が大幅に遅れた」とあります。

都神社庁が警察に被害届を提出したのは横領発覚から半年が経過してからのことだった。外部の専門家から構成される調査チームの調査結果を受け、当時の小野貴嗣庁長が刑事告訴したのは2024年8月になってから。なぜ、これほどまで遅れたのか。身内を徹底的にたたくわけにはいかないという心理が働いたのかもしれない。

横領を裏付ける資料を第三者に開示して告発した職員もいた。しかし「情報漏洩」として、当時の執行部から逆に論難される格好となってしまった。

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