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アメリカ第一主義が「国際金融安全網」を揺らす/次の金融危機は鎮火できるか?/中国主導の動きも注目

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リーマンショック以来、拡充が進んだ国際金融セーフティネット。しかし米中関係を中心に大きな転換期を迎えている(写真:Din239/PIXTA)

「グローバル金融セーフティネット(Global Financial Safety Net: GFSN)」は、アジア通貨危機、リーマンショック、コロナ禍などの過去の苦い経験から得た教訓をもとに、国際金融界のステークホルダーによって構築されてきた。次の危機が発生した際、金融の機能不全や新興国・途上国の連鎖的デフォルト(債務不履行)など危機の伝播・拡大を回避するには、GFSNの役割が大きい。

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しかし、現在、GFSNは米中関係を中心に大きな転換期を迎えている。1つには多くのグローバル金融機関と国際金融センターを抱え、従来グローバリゼーション推進の旗手を担ってきたアメリカが、自国第一主義を推し進めているからだ。

他方、中国は今年9月の上海協力機構サミットで20人以上の新興国・途上国首脳を招集し、多国間貿易体制を支持するとの声明を発表するなど、アメリカに代わる「公正」で「バランスのとれた」世界秩序のリーダーとしての地位を主張した。

新興国や途上国を巻き込む形で米中の対立は深まっている。こうした動きは、GFSNにどのような影響を及ぼしているだろうか。ここでは、GFSNと、それをめぐる米中の動きを解説し、最後に在るべき姿を論じる。

GFSNとは、国際的な金融システムの安定を維持するための一連の仕組みや制度を指し、国際通貨基金(IMF)の融資枠、2国間の通貨スワップ協定、地域の金融協定(地域金融アレンジメント)、そして各国の外貨準備、といったさまざまな層からなる安全網のことだ。

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